GRIND

FASHION, INTERVIEW, MONTHLY 2020.4.30

The way of Materials

N.HOOLYWOOD

反逆の生地に見る
一歩先の可能性

今シーズン話題となった、アンダーカバーのアーカイブ生地を使用したN.ハリウッドのプロダクト。『REBEL FABRIC BY UNDERCOVER』と名付けられたこの生地には一体どのようなメッセージが込められているのだろうか。デザイナーの尾花大輔氏のインタビューから見えてくる、共演の経緯と生地とのストイックな向き合い方。

Photo_Yoko Tagawa

共演の裏側にある
信頼関係

 アンダーカバーのアーカイブ生地を使用した、N.ハリウッドによるクリエイション。国内外問わず注目を集める両ブランドが、コラボレーションに近い形で共演した背景とは。「ここ数年苦手意識をとにかく克服したいというのが根底にあるので、アメリカ好きの自分が英国に行って。そこでいろいろなものを目にして、家紋や出身地など、自分の在り方を語る意味合いを持つ、タータンチェックを使おうと。調べていくとすごく奥が深くて。従来の自分なら、そこをものすごく掘り下げて、歴史的な物事とクロスオーバーさせて提案するんだけど、今回は英国に詳しい先輩がいるなと思って、連絡してみました」。その“英国に詳しい先輩”こそが、他でもないアンダーカバーのデザイナー高橋盾氏だ。そして共演が形になるのに、時間は必要なかった。「実を言うと実現するまで一度も会っていないっていう。でもそれだけの信頼関係を作る時間を過ごしてきたと実感できたかな。相談して、生地を使わせてもらいたいと伝えて、それなら名前をつけてやってみようかってことで」。主にテキストと電話で進行したという驚くべき背景には、盟友同士だからこその信頼関係が。「ショートメールでさらっと『REBEL FABRIC BY UNDERCOVER』というネーミングを考えてくれて、『反逆の布、どう?』って。反逆というメッセージも英国ならではというか、あの人らしさが伝わるような一言になっていて、“やばいですね”って」。REBEL(反逆の意)という単語に込められた高橋氏のメッセージは、尾花氏が苦手な分野に立ち向かうという、自分に対して反旗を翻すような姿勢によって一層深みを持ち、彼の在り方を示すことにもつながっている。

『REBEL FABRIC BY UNDERCOVER』のタグ。高橋氏が考えた文言で、レイアウトを作成。反転するUNDERCOVERの文字やレイアウトのバランスによって、メッセージ性とインパクトを持つ、特徴的な仕上がりに。

『REBEL FABRIC BY UNDERCOVER』の生地を使用したジャケット。「アンダーカバーという看板が出るわけなので、そこに恥じないようなモノを作らなきゃいけない」というプレッシャーを感じながら完成したプロダクトは、多くの支持を集めている。パンクカルチャーから着想を得ており、全面に施されたタックによって、固すぎない印象に。背景にあるカルチャーと、タグのメッセージが強くリンクする1着。¥77000

『REBEL FABRIC BY UNDERCOVER』の元ネタとなったのは、アンダーカバーの18AWコレクションに使用されていた生地。今回春夏シーズンの生地として使用するため、ウエイトは落としつつ、忠実に再現をするという作業に相当な苦労が隠されている。Photo_©️UNDERCOVER

苦痛の先にある感動

 「僕は多くのデザイナーの方と違って、ストーリーを作り、方向性を決めてからデザイン画を描いて、最後に生地を作りはじめるんです。ぶっちゃけていうと、生地を選ぶのが苦手で。なぜならデザインを起こしてパターンを入れて、いい生地だなと思っていたモノで仕上げたら、イメージと違うとか、フォルムが全く出ないとか、着心地が悪いとかで落胆するケースが多々あって。いろいろ考えていると気が狂ってくるというか。でも苦痛があるからこそ、頑張ってフォルムやデザインが合う服ができた時に、ものすごく感動するんです。素材作りでは、無駄なモノを作ってはいけないし、かなりタイトな環境で良いモノを出さなくてはいけない。語るまでもないけど、洋服のなかで生地のウエイトは相当大きい。だからこそ怖い」。意外にも生地を選ぶというプロセスに、苦手意識を強く感じているという。しかし地道な創造の先にある喜びこそが原動力なのかもしれない。「いつも自分は利便性の高い化学繊維を多く使うけど、今回は天然繊維のウールで。その生地を作るまでの工程や手間を考えると、今の世の中のサイクルにおいてナンセンスだと思う部分も正直あるわけですよ。ただ英国を語るうえで、その土地のファブリックや、歴史から出てくる重み、昨今のウールにない深みなどがある。そしてそこと向き合って、自分なりに料理してっていうのもファッションだなと思います」。ここ数年間、自分の得意ではない部分に焦点を当て対峙することで、新たなステージへと進んでいる。拒否するのではなく、刺激として苦手意識を活用し、自分を表現するための要素とする。生地というひとつの素材から連なるようにして見えてきたのは、自分自身への反逆が持つ大きな可能性なのではないか。

(左)50sにUK軍が採用していたモッズコートから着想を得たコート。着脱可能な胸ポケットは、同じくUKミリタリーのモーターサイクルコートのディテールを抜き出したもの。土地柄や歴史を感じさせるアイテムにひねりを加え提案するのは、N.ハリウッドならでは。¥88000(右)英国に根付く伝統的なキルトパンツを、控えめなワイドシルエットで表現。それぞれのアイテムに見られる英国的なニュアンスを、ファッションの文脈に乗せていく。¥59400

PROFILE

Daisuke Obana

2001年にN.HOOLYWOODを立ち上げ、今に至るまでクリエイションを通して、多くの人を魅了し続けている。ここ数年は自身の苦手分野と対峙し、より感覚的な部分を大切にしながら新たなプロダクトを生み出している。

Mister hollywood/ミスターハリウッド
TEL:03-5414-5071

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