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CULTURE, FASHION, MONTHLY 2020.11.17

GRIND MONTHLY TOPIC『CHANGE』

meanswhile

変革と残った意志

世界的なパンデミックに、各方面で“変化”が求められた今年。ファッション業界は特に、変革を求められたカテゴリーのうちのひとつと言えるだろう。さまざまなブランドが適応を模索する中、日本のファッションブランド〈ミーンズワイル〉も同じ境遇に立たされていた。その最中ブランド初となるファッションショーを10月中旬に敢行。バックステージの写真の世界観とリンクする、取り組みの背景に据えたデザイナー藤崎尚大氏の想いは、リアルなファッションの一歩先を見せてくれる。

Photo Toshio Ohno, Ryohei Ambo

場所に込められた
併存する目的と想い

デザイナーの藤崎尚大氏により2014年に設立されたファッションブランド〈ミーンズワイル〉。その2年後には東京新人デザイナーファッション大賞を受賞し、本年はTOKYO FASHION AWARD 2020を獲得。着実なステップアップを重ね、今年3月にブランド初となるファッションショーを催すはずだったが、世界的なパンデミックにより一時的にストップせざるを得なくなった。ファッション業界ではショップの在り方として、感染予防対策の強化やECサイトの活用による店舗運営。ブランドの世界観を五感を通じて伝えることができるフィジカルでのファッションショーは、デジタル配信でのショー形式など、試行錯誤を繰り返す状況が続いた。徐々に復調の兆しが見え隠れする状況下で、ついに今年の10月〈ミーンズワイル〉初となるファッションショーが渋谷ヒカリエにて実施された。「通常設置している観客席やひな壇、照明を積む骨組みも全部取っ払われて、ヒカリエのホールを広いブラックボックスとして扱えたので、今だからできる演出を心がけました。制約としてはソーシャルディスタンスの兼ね合いで、800人位入る会場に150~200人位しか招待できなくて。そうするとどうしても距離間隔的に後ろの人が見えづらくなってしまうんです。そのためランウェーにどこからでもある程度見やすくするために、櫓(やぐら)を組んで一階と二階の層で構築しました」。

ショー会場の構造を“今”に適応させる一方で、デジタル配信が普及しているからこそ込めた隠然たる狙いがあると藤崎氏は話す。「オンラインは誰でもどこからでも、いつでもアクセスできるじゃないですか。半年後でも見れるし、そのモノの“結果”を見てもらうことになりますよね。だからそれをつくる過程を、招待したお客さんには見てもらいたいと思ったんです。世に流れるデジタル映像の撮影現場の空気感を共有したかったし、あの場に来ないと見えないことがある。だから工事現場というか制作現場のような、過程を見せるような内容にしました。それから前回のショーが中止になったこともあって、今お店に並んでいるものと来季のSSのもの、両シーズン分でルックをつくったんです。通常の20~30人のモデルで進行して、片手間片手間でやっている感じが出るのは避けたかったし、そういう評価もされたくなかったので、2シーズン分の予算とモデルの人数を用意しました。そもそも演出内容的に、2フロアをモデルさんに歩いてもらとなると、20人だと一瞬で終わってしまうので、今回のモデルさんの数は必至でしたね」。決して追い風とは言えない状況と、その変革に対応しながらポジティブな方に向くように分岐点を設置していった藤崎氏。“プロセス”を彷彿とさせるショー構築へのアプローチは、醍醐味でもあるライブ感をより強めた。そして約60体用意されたルック、2層で組まれた櫓の会場の形式によって、生み出される余韻には、藤崎氏の想いと結び付くものがあったはずだ。

“道具”をもとに追求する
ファッション文脈の未来

“日常着である以上、服は衣装ではなく道具である”というフレーズをブランドのコンセプトに掲げる〈ミーンズワイル〉。道具としての機能性をもつプロダクトを、どのようにファッションへ調和させていくのかということがクリエイションのキーになるが、今回のショーではひとつのアプローチが目に見える形で現れている。「ショーをやるためにこのブランドでできることをは何だろう?ということはかなり考えましたね。とはいえ僕は“プロダクト”をつくっていると思っているので、モノとしては完成しているものをつくる、という想いは強いです。その中で今シーズンはバラバラになる洋服をデザインしていて、他の洋服と組み合わせても成り立つものを全体像を踏まえてデザインしました。そのような背景もあり、あえてプロダクトとして見せるということは意図せず、スタイリスト服部昌孝さんのファッション的フィルターを通した捉え方を大事にしました。バラバラにした状態でお渡しして、プロダクトとしての解釈を取っ払った状態で、ファッションに根ざした感性で組んでもらったので、より強いルックといいますか、ファッション的なニュアンスが色濃く出たものを狙いましたね」。

あくまでもファッションとしてどのように魅せていくのか。しかしデザイナー藤崎氏の根底にある想いは、ブランドコンセプトの中に点在する“道具”や“機能性”などの言葉による影響もあり、意図していない解釈が生じることもあると話す。「ブランドコンセプトで“道具”というワードを打ち出しているので、機能系ブランドとして受け取られてしまうことがあって。機能とファッションの融合って、ファッション文脈においてやり尽くされてきたものだと思うんです。便利なものを売りたいとか、機能的なものを買ってもらいたいみたいな気持ちは全然なくて。それってもう人の生活下のマインドとして当たり前に根付いているレベルだと思うんです。僕が〈ミーンズワイル〉でやってることは、ファッションに対してのアプローチと言いますか、機能というものをもってして、どういう風にファッションを新しい文脈へもっていくかということなんです。その試みがだんだんと消費者の価値観を柔らかくしていって、類似のブランドが出てきたり大手の資本が参入していく。そうやって広がっていけばいいと思ってます。人にはそれぞれポジションがあってやるべきことがある。自分のやるべきことを考えた先にある使命に向けて継続して取り組んでいくことが、新しい文脈をつくっていくと信じています」。

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