The Reason I Hold On
Vol.4 Homies Network
若手やブレイク前の才能あるアーティスト、ブランドをいち早く日本のシーンでフックアップし続ける〈ドミサイル〉。彼らならではの繋がりや関係性が数々の才能を発掘するベースになっている。そんな〈ドミサイル〉だからこそ可能なアーティスト、ブランドにフォーカスした連載の第4弾。今回はDOMICILE TOKYOでの展示に際し来日していた、NYを拠点とするスケートクルー〈Homies Network〉をフィーチャー。メンバーが互いを撮り合い、仲間たちと共にアートショーをつくり上げる姿を収めた写真とともに、リーダーであるKei Tsurutaへのインタビューを通じて、強い友情によって結ばれたユースたちのリアルな肖像に迫る。
Edit&Text_Yuki Akiyama
ストリートが育んだ絆
NYを拠点に、10代から20代前半の若いスケーターたちを中心に結成された〈Homies Network〉。DOMICILE TOKYOで開催された彼らのアートショー『The Reason I Hold On』では12名の作品が展示され、1つの空間にアーティストそれぞれの想いやエネルギーがひしめき合っていた。設営の現場に密着し、クルーのリーダーであり本展のキュレーションを務めたKei Tsurutaへのインタビューを通じて身にしみて感じたのは、スケートをきっかけに出会い、同じ時間を共有する中で育まれた彼らの友情。時間や国境を超えた固い絆は、ストリートの真髄を映し出す。
ー まずは、〈Homies Network〉がはじまったきっかけを教えてください。
俺はずっとスケボーをやってたんですけど、18歳ぐらいの時に1回スケボーからは離れて、大学も途中で辞めたんですよ。その時にどん底じゃないですけど、これから何していいか分からなくなったタイミングがあって、そしたら小さい頃からNYで一緒に生まれ育ってきたキョウタっていう奴が声をかけてくれて。久しぶりに誘われて近所のパークに遊びに行ったら、やっぱり楽しかったんです。ちょっとずつまた滑りはじめて、いつもの友達と遊ぶようになって、それでだんだんとこいつらと何かやりたいなって漠然と思うようになりました。俺はもともと映像を観るのが好きだったんで、せっかくならこいつらを撮りたいなと思って、親が持ってた古いテープのカメラを借りて撮影しはじめて。それが最初のきっかけでしたね。そこからどんどんスケボーとか遊んでる様子とかを撮ってたらいろんな人たちと会うようになって、気がついたら今こんだけの人数が集まってるって感じです。
Kei Tsuruta
ー 今回来日してるみんなも小さい頃から同じパークで遊んでた人たちなんですか?
NYのイースト・ビレッジにあるトンプキンズってパークなんですけど、そこでみんな小さい頃から遊んでました。今はスケボー以外の友達とかもいますね。
ー 全員がスケーターなわけではないんですね。
そうっすね。だから今回の展示みたいにスケボー以外のことをずっとやってみたかったんですよ。こうやってみんなで実現できて嬉しいです。
ー こうして〈Homies Network〉というクルーとして活動してますけど、全員に共通してる部分はどこかありますか?
全員、マジで良い奴なんですよ。やっぱりそこですね。ただ単にスケボーが上手いとか写真が上手いとかで人を見てなくて、スケボーができない奴がいたってこうやって成立するんですよ。さっき俺が時間がなくてパニクってるとき、こいつらはタバコばっかり吸って何も作業しないから若干キレそうになったんですけど、でも結局はみんな俺の作品の設置を手伝ってくれるんで。みんな本当に友達思いで、良い奴らばっかですね。
ー 今回の〈ドミサイル〉での展示はどんな経緯で開催するに至ったんですか?
爺ちゃんと婆ちゃんがこっちにいるんで、俺は毎年夏に日本に帰ってきてたんですけど、コロナの影響もあって今回は4年ぶりの帰国なんですよ。最初は久しぶりに爺ちゃんと婆ちゃんに会おうかなって感じだったんですけど、せっかく日本に来るなら何かしたいなと思って、前からずっとやりたかったアートショーをやろうと思ったんです。俺は日本人なんで家族にも馴染みのある場所でやりたいという想いがあったんですよ。爺ちゃんと婆ちゃんにスケボーを見せたり、この雑誌に載ったんだとか言っても分かんないと思うんですけど、東京でイベントをやるって言えばまだ分かると思うし。それで自分から〈ドミサイル〉に連絡しました。
ー なるほど。自分からアプローチしたんですね。
そうっすね。知り合いに連絡先を教えてもらって〈ドミサイル〉にメールを送ったら、是非やりましょうってなって。それでせっかくやるならみんなで行こうと思って、NYでいつも遊んでる奴らから12人選んだって感じです。今回で初めて日本に来る奴らも多いですね。Homiesにとってこれがスケボー以外のことに挑戦する初めての機会なんで、みんな気合入ってます。
ー みんな普段からアートを描いてたり写真を撮ったりしてる人が多いんですか?
スケボーをやりながら、その上で何か自分でモノづくりしてる奴は多いですね。
ー 今回は12人の作品が展示されてて、写真とか絵とかいろんなアートがありますけど、何かテーマがあるというよりかは、それぞれがやりたいことをやってるような感じですか?
みんなもうグループショーのためとかではなくて、自分のやりたいことを好き勝手にやってるような感じですね。アティカスっていう奴はスケボーはしないんですけどいつも一緒に遊んでる奴で、普段から自分のキャラクターをエアブラシで描いてるんですよ。ヴァイオレットって子は高円寺の方で自分が主催する展示を開催したり、テンジンって奴はソルトアンドペッパーで個展をやったりしてますね。みんなそれぞれがやりたいことをやりに来てる感じです。
ー 初来日の人たちもいると思うんですけど、みんな楽しんでますか?
めちゃくちゃ楽しんでますよ。とりあえず飲み歩いてます(笑)。この前は中野ブロードウェイに行って6時間ぐらいフィギュアとかおもちゃをいろいろ漁りながら盛り上がって、金を使いまくりましたね。とりあえず遊びまくって、全員で同じ日に帰ろうと思ってます。俺が帰るって言ったら、じゃあ俺らもその日に帰るみたいな感じだったんで(笑)。
ー NYは世界中からいろんな人が集まってきて、他の都市には無い独特の空気感があると思うんですけど、ケイ君にとってNYのストリートシーンはどんな場所ですか?
自分はずっとNYで生まれ育ってきて、そこしか知らないんですけど、とにかく変化が激しいです。でもその分いろんな人と出会えるっていうのは面白いところですね。今回もNYで知り合った友達が、俺らが日本に行くと聞いてロンドンから来てくれたりして。いろんな国に友達がいるっていうのは、俺がNYに住んでるからだと思います。
ー 今回は日本でアートの展示をやってますけど、今後〈Homies Network〉としてどんなことをやっていきたいですか?
アートショーはどんどんやっていきたくて、今度はロンドンでやりたいですね。
ー どうしてロンドン?
テンジンがいろんなところを飛び回るのが好きなんですけど、よくロンドンに行ってて、彼のおかげであっちに友達が結構増えて来たんですよ。だから次はロンドンに行って場所を借りて、今回みたいにみんなで好き勝手やろうかなって思ってます。今回展示に出せなかった友達もいるんで、そういう奴も今度は連れていきたいなって思います。
ー やるやらないを別にして、〈Homies Network〉のみんなを繋いだものとしてスケボーの存在は大きかったと思うんですけど、ケイ君にとってスケボーの魅力はどんなところにありますか?
スケボーの良いところって言ったら、やっぱ自由なところですかね。自由に自分を表現できるものというか、こいつらを見てても分かると思うんですけど、本当自由で、何やってもよくて、ルールがない。俺らが好きなスケートは学校に通うようなスケートじゃないんですよ。俺は14歳のクリスマスの時に無理やりお母さんとお父さんに頼んで板を買ってもらって、それで公園で滑ってただけなんで。それでこうやっていろんな友達にも出会えたし、スケボーなかったら、マジ無理っすね。