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CULTURE, FASHION, MAGAZINE 2020.12.2

the Force (2/2)

Goldwin

ブランドの根底にある哲学

1951年に富山県西部の小矢部市に、前身である株式会社津澤莫大小(メリヤス)製造所を設立し、以来スポーツウエア専業メーカーの道を歩んできたゴールドウイン社。現在は様々なスポーツやアウトドアウエアブランドを抱えるなど日本を代表する企業である。そして自社の名を冠したブランド、Goldwin(ゴールドウイン)は2014 年のリブランディング以降新たな局面を迎えており、それを中心で担う事業部長の新井元氏へインタビューを行なった。

Photo Yoko Tagawa 
Text Atsutaro Ito
Edit Shuhei Kawada

「Ski」「Mountain」「Dinamism」という3つのエレメントが掛け合わせて表現されたリニューアル後のロゴ。

ターミナルとして設計された
それぞれ特性のある直営旗艦店

 多くの人にブランドを知って、使ってもらいたい。そんな思いからできたのが東京丸の内と原宿、そしてサンフランシスコの『Goldwin』直営旗艦店だ。いずれの店舗もアウトドアやスポーツと直接的には関連しなさそうなエリアだが、そういった場所選びにもブランドの哲学が反映されている。「一番最初につくったのが東京丸の内ですが、その理由はまず日本の中心という点です。ありとあらゆる交通機関が発着する場所で、海外を含め多くの人が行き交う場所。そしてなにより、丸の内から自然へアクセスすることもあるだろうし、反対に自然から都会へ来る人もいます。そういったニーズに応えられるのは『Goldwin』の強みですし、街並みの雰囲気もブランドのイメージに合っていると思ってあの場所に初の直営旗艦店を構えました。このように、ターミナル的な意味合いを求めて直営店は考えているので、同じ交通の要所であるサンフランシスコにも出店しています。ヨセミテやカリフォルニアの海にアクセスでき、非常に気候が穏やかな場所です。原宿に関しては、残念ながらコロナの影響で海外のお客様は減ってしまったのですが、それでもより多くの若い人に見てもらえるように交差点に近い場所をあえて選びました。それぞれの店舗に特性があるので、並べる商品に関しても若干変えているのですが、基本的にはスポーツ目的だけではなく、かっこいい洋服が欲しいなと思う人にも来てもらえるようなアイテムや店舗の佇まいを意識しています」。さまざまな環境や生活スタイルにフィットすることができる、『Goldwin』だからこそのアプローチだ。

洗練された佇まいの店内には、アウトドアやスポーツはもちろん、ジャケットやスラックスなど、そのまま日常やビジネスシーンでも着られるアイテムがラインナップする。どれも無駄のないシンプルなデザインであり、それが機能的な洋服であるということに目を疑いそうになる。

ユーザーの信頼を裏切らない
ブランドとして大切にする接点

 自分の好きなものに囲まれたいという意識で物を選ぶことが当たり前になり、何を手に入れるかの取捨選択が日々行われる現代。だからこそ『Goldwin』はユーザーの信頼を裏切らない接点をもち続けるという。「年を重ねていくとブランドとの付き合い方は変わりますが、男性の場合スタイリングはそこまで変わらないと思います。時代感はもちろんありますが、各々のセンスといった部分のほうが大きい気がしていて、特に今の若い世代は自分の好きなものに囲まれていたいというムードを強く感じますね。だからこそブランドとお客様との接点を大切にしていて、それをつくって、もち続けるのが『Goldwin』です」。
 そして最後に、新井氏にとって理想的なアイテムやブランドとはどういったものか聞いてみた。
「人の手でつくる製品は色々な意思やクセがあります。なので、作り手側とお客様が最終的に製品から受け取るイメージは同じであるということが最も理想的だと思います。もちろん機能性は確約しなくてはなりませんし、それができないと着るに値しないものとして淘汰されていくと思います。できればスポーツブランドのトップセールを狙いたいですし、そうでなくとも皆様から信頼され続けるブランドを常に目指しています」。

販売されているアイテムの他に、各地の自然風景を収めた写真や男の生き方を問う書物など、『Goldwin』としての哲学が現れた趣味部屋のような空間の店内。ブランドのイメージを伝えるために、必要なピースだという。

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