The Elder Statesman
WINTER SHOP in GINZA SIX
LAを拠点に、上質なカシミヤを使用したプロダクトを、自社工場で丹念に生み出していく〈ジ エルダー ステイツマン〉。11月3日から12月26日まで期間限定のウインターショップをGINZA SIX 3Fにて展開している。新作コレクションに加えて、カシミヤのコレクションサンプルを使用して特別に作成されたカーテンや、廃材を利用したチェアやアートなどが並ぶ店内には、ブランドの世界観が凝縮されており、訪れる人々に豊かな体験をもたらしてくれる。創業者であるグレッグ・チェイトの話を交えて、今回のプロジェクトの全貌を追う。
Photo Haruki Matsui
Edit&Text Shuhei Kawada
創業者のグレッグ・チェイト。
©︎The Elder Statesman
過程やその先を見据えた
最高のプロダクトを
昨今の状況を踏まえて、オンラインでの新たな取り組みについては目にすることも増えたが、〈ジ エルダー ステイツマン〉は改めてフィジカルでの繋がりを打ち出している。11月2日よりGINZA SIX 3Fにてウインターショップを展開しており、足を運べばブランドが描くイメージを存分に味わうことができる。「私たちは〈ジ エルダー ステイツマン〉のフィジカルな表明が、大勢のためではなくても極めて重要であると考えており、現実での繋がりを信じています」。と創業者のグレッグ・チェイトが語るように、リアルな空間に足を運ぶ意味合いを改めて意識させてくれる。新作コレクションが一堂に介するという喜びはもちろん、今回のウインターショップのオープンに際して用意されたさまざまな仕掛けが、その体験を一層濃密なものに変化させる。「会社を立ち上げた当初から、端材や糸を再利用してキルトやぬいぐるみ、その他の身の回りのものをつくるために、ずっと集積してきていました。創業時から14年以上続けていますし、単純に素材と世界をリスペクトしているのです」。
ウインターショップ内のフィッティングルームに使用されるカーテンは、今回のプロジェクトのために、本国から送られてきた素材を日本で縫い合わせたもの。
〈ジ エルダー ステイツマン〉のファクトリーから送られてきた大量のコレクションサンプルの一部。今回のウインターショップに使用されている、フィッティングルームの仕切りのカーテンの制作へと使用された。本来であれば破棄されるようなものに新たな命を吹き込むことで、モノづくりへの姿勢が表明されるだけでなく、インパクトのあるアイテムが完成した。
ウインターショップに並ぶ新作コレクション。上質な生地は実際に触れて、身を包んで感じてほしいが、美しいグラデーションや絶妙な色の組み合わせなど、どこかサイケなイメージを漂わせるアイテムの数々が楽しませてくれる。
ここ数年声高に叫ばれるサスティナブルという概念やそれに伴う取り組みを、自然なこととして実行し、クリエイションの一環として見せていくのが〈ジ エルダー ステイツマン〉だ。「サスティナブルであることを、トレンディな潮流として飛躍させてしまう人がいたとしても、最終的な結果は世界に対して良い変化を与えるものだと感じています。私たちは会社を立ち上げた時から、サスティナブルであろうと掲げてきました。なぜなら単純に良い行いであるし、他のやり方があるとは思っていません。したがって長きにわたりこの方法を続けています。永続的なものをつくる、再利用する、より適した供給を行う、できる限り最高の素材を使用する。すべては魂のこもった最高のプロダクトを生み出すためということです。自分が一般的な市民だったとしたら、目新しいアイディアだとは思わないでしょうが、ただ正しい行いなのです」。
LAに構える〈ジ エルダー ステイツマン〉の工場。一貫した服づくりのプロセスが、クオリティの追求を可能にしている。
©︎The Elder Statesman
より良い素材を使用し、自社のファクトリーで行う染色や縫製といった作業へのこだわりを加えることで、真の豊かさを追求していく。長い時間をともにできるプロダクトを人々に届けるだけでなく、その過程で生まれる残反などもブランドのストーリーに絡めることで、クリエイションの一部を形成する。彼らにとっては『正しい行い』という簡単な言葉に集約されるが、実行して続けることは容易くないだろう。過程や背景を踏まえた物事の価値を理解し、自身の軸、スタイルを形成したいと考える人々にとっては打ってつけの機会になるだろう。
Information
The Elder Statesman WINTER SHOP
会期 : 開催中〜1/26(水)
時間 : 10:30〜20:00
住所 : 東京都中央区銀座6-10-1 GINZA SIX 3F