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Seventh × BEAMS T Seventh × BEAMS T

CULTURE, FASHION, INTERVIEW 2025.3.25

Seventh × BEAMS T

Interview with Seventh team

本質的な繋がりをつくる
コミュニケーション

2019年にロンドンでスタートした、デザイナーのブッキ・オジョをはじめとする複数名のチームで形成される〈Seventh〉。シルエット・カラー・マテリアルといった3点にフォーカスし、快適性を追求したシンプルかつミニマルなウエアを展開する。今回、3月19日(水)からビームスT 原宿にて開催されているポップアップイベントのために初来日した彼らへのインタビューを通して、気の置けないコミュニティの存在が繋ぐストリートの原点が見えてきた。

Photo_Yudai Emmei
Edit&Text_Fuka Yoshizawa

本当の意味の“Seventh”

 ロンドンを拠点に活動をする〈Seventh〉は、“your seventh moment”というキーワードを掲げ、日常生活をシンプルにするためのウエアを展開するストリートブランドである。その特徴的なシルエットとニュートラルなカラーリング、ロゴやグラフィックを一切使わずシンプルを極めたアイテムの数々は、単に無機質なだけでなく、上品なムードを感じさせる。ブランドのコンセプトでもある“your seventh moment”とは、旧約聖書による「神は6日間で世界を創造し、7日目を安息日とした」という言い伝えからくる休息を意味し、これが彼らの活動の原点にもなっている。着飾るもの、自己を表現する手段としてのファッションという捉え方があるなかで、休息を意味する〈Seventh〉のウエアは、シーンにおいてどのように機能していくのだろうか。「休息は〈Seventh〉にとって重要な要素です。私たちは着ていて少しでも着心地が良くないと感じるものは絶対につくりません。見た目が美しくても着づらかったり、頑張っておしゃれに見えるものではなく、まるで着ていないかのように快適で、それでいて美しいというバランスを追求しています。デザインに関しては、常にユニークなシルエット、目を引くポップなカラーリング、そして最高級の着心地をもつマテリアル。この3つを最重要項目として考えていて、これらを通して生活をシンプルにすることが、ミニマルな考え方をもつ私にとっての休息を意味します。だから、〈Seventh〉はただのブランドではなくエコシステム、つまり生き方を提案しています。なので今後はウエアだけでなく、ホームウエアやサービス業といった分野にも挑戦していきたいです」。日々膨大な情報を目にしている私たちは、その情報に惑わされ自身のスタンスが揺らいだり、知らず知らずのうちに疲弊しているように思える。それはファッションにおける情報過多やトレンドの推移の早さにも共通し、表面的なモノにばかり気を取られている可能性がある。〈Seventh〉が提案する“休息”という言葉は、文字通りこうしたシーン全体のストレスからの解放を意味する側面もあれば、ブランドを選ぶ人たちにとって立ち返れる場所として機能する可能性も含んでいるように思える。洋服のデザインに限らず、ビジュアルなどクリエイティブに関しての考え方を見ていくと、ブランドの在り方についての価値観が見えてくる。

コミュニティの重要性

 ビームスT 原宿でのポップアップイベントだけでなく、日本でシューティングを行うなど、多忙なスケジュールをこなす〈Seventh〉チーム。合間を縫って引き受けてくれた今回の取材や撮影で感じたのは、彼らが仕事仲間というより家族のような関係性であること。特に撮影時、3月では珍しく雪が降るという天候のなかだったが、常にコミュニケーションを交わし、冗談を言い合う飾らない一面を捉えることができた。互いがリスペクトし合い、何よりもリラックスした状態でいるのだ。クリエイティブ面を総括するエマニュエルは、休息という意味を突き詰めていくことで見えてくるものがあると言う。「僕は、常に〈Seventh〉が創造するものを通してどのように休息を伝えられるかをミッションとして考えている。休息から連想して、ホーム、そしてファミリーというキーワードが出てきたんだ。僕がホームと感じる瞬間は、本当に落ち着く場所だから、クリエイティブにおいてもファミリーという要素を大切にしている。だから、何が人々の心に響くのか考えた時、信頼できる友人やパートナー、そういう人々とともにつくり上げるものだと思った。そういう人とつくり上げたものは、どこか休息を感じられ、出演者含めスタッフも皆演じることなくリラックスした姿で臨めるんだ。リアルを見せることが〈Seventh〉らしさに繋がっているよ」。休息の根底にも繋がるこの考えは、ブッキによるデザイン、そして〈Seventh〉の活動を広げていく重要なピースとなっている。

ビームスTでのポップアップイベントでは、〈Seventh〉25SSのラインナップに加え、25AWのプレビューとして数型が展示・販売される。そして、ビームスTとの別注であるレイヤードTシャツとバミューダパンツも登場。昔ながらの日本建築で撮影されたオリジナルビジュアル同様、店内も日本の和を連想させるような心落ち着く空間となっている。この機会にぜひ足を運び、彼らの美学を体感していただきたい。

「〈Seventh〉がどんなブランドで、どういう信念をもって活動しているかを伝えるためには、正直でいなくてはなりません。無理やり広げていくのではなく自然発生的に広がっていくのが理想です。そのために、常に自らの足で外に出て、コミュニケーションをとっています。Seventh Suppersというキャンペーンでは、地元のインディペンデントなレストランを訪れ、彼らのストーリーとともに〈Seventh〉を紹介しました。DJであってもモデルであっても誰でも、私たちが人気になるためではなく、この社会で実際に生き抜いている人々と繋がりたいんです。〈Seventh〉はジャーナリズムの面も備えていると思っているので、私たちがストーリーテラーとなって発信していくことで、自然にコミュニティを広げていくきっかけになると思います。そして何より、私たちはお客様との関係性や繋がりを第一に考えていて、できるだけお客様と話をしたいと思っています。私はデザインする時にお客様にDMを送り、彼らが今何を求めているか、何を探しているかを聞くんです。多くのブランドも『コミュニティを大切にしている』と言うけれど、私たちは本気でお客様と一緒に〈Seventh〉をつくり上げているんです。それは本当の意味でお客様に寄り添ったブランドだと言えます」。つくり手と消費者、人から人へ。表面上のコミュニケーションでなく、自発的に情報を取りにいき、関係性を構築するという時間のかかる作業を率先して行う〈Seventh〉。今回のポップアップ開催にあたっても、ビームスTのチームとしての団結感や、カルチャーにインパクトを与えるブランドを常にフックアップする姿勢に共感したと話すブッキは、イベントレセプション当日も、来場者と積極的にコミュニケーションをとり、新しい出会いを大切にしていた姿が印象的だった。人々のホームとなるためには、洋服もひとつのコミュニケーションの手段で、その中心には常に人の存在がある。時代が変化し、意味合いや様式が多様化しても、コミュニティに根差した〈Seventh〉の在り方は、ストリートスタイルの原点であり、マインドで通じ合うことの大切さを教えてくれる。

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ブッキ・オジョ
〈Seventh〉創設者兼デザイナー。18歳で自身の最初のキャリアとなるブランドを立ち上げた後、ヴィンテージのアーカイブショップを経営。その傍らで大学に通いファッションビジネスを学ぶなど、クリエイティブとマーケティングの両面から経験を積み、2019年に〈Seventh〉を立ち上げる。シルエット・カラーリング・マテリアルに主軸を置く洗練された快適なウエアは、ストリートシーンのみならず注目を集めている。


SEVENTH POP UP EVENT

Seventh POP UP EVENT at BEAMS T HARAJUKU
〜3月30日(日)
BEAMS T HARAJUKU
渋谷区神宮前3-25-15 1F
12:00 - 20:00(月〜金) / 11:00 - 20:00(土日祝)
@beams_t

Information

Seventh

@seventhstores

seventhstores.com

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