違いが引き出す
互いの可能性

〈マルベリー〉は創立された70年代はじめのクラシカルなムードを基本としたデザインと、それを支える職人技が特徴。洗練された伝統的なものづくりにより、英国王室御用達のブランドとしても知られる。〈ニコラス・デイリー〉も同様にロンドンを拠点としたブランドである一方、デザイナー自身の背景や影響を受けた文化的要素を色濃く反映した表現で、支持を得ている。英国のカルチャーをクリエイションの要としつつも、切り取り方は異なる両者。そんな中、”60's〜70'sの音楽”がテーマとなった今回の共演。「DJをしていた父の影響もあり、小さい頃から僕にとって音楽はなくてはならないもの。音楽は、クリエイションすべてにおいて極めて重要な役割を担うんだ。特にテーマとなった時期は、マイルス・デイビスやジミ・ヘンドリックス、プリンス、ボブ・ディランなど、僕が音楽的にもスタイル的にも尊敬しているレジェンドの時代だ。レザーグッズは僕が十分に探求できていなかった文脈なので、革製品の老舗と最高水準の製品をつくることができたのはとても光栄で、学びの多い素晴らしい経験だったよ」。名だたるレジェンドにインスパイアされたコレクションは、彼らがステージで着用していた衣装を彷彿させるネイビーやオークといったカラーリングや、〈ニコラス・デイリー〉の象徴のひとつでもある編み込みやフリンジが施された。それらが、従来の〈マルベリー〉にはない新たな表情をもたらした。さらに、両者にとってはじめての挑戦となったギターやサックスのストラップも登場。「彼らは、新しいアイディアにとてもオープンで協力的だった。簡単なプロセスではなかったけれど、〈マルベリー〉のもつクラフツマンシップのレベルは僕の期待を遥かに超えていたんだ」。それぞれの強みをリスペクトし、活かしながら、互いの可能性を引き出すコラボレーション。異なる視点が重なりあい、真の“英国らしさ”を導き出していく。

ルーツへの敬意と
多様性の受容

　創業者のロジャー・ソールが、サマセット州の自宅の台所でスタートした〈マルベリー〉。現在でもバックの半数以上をブランドの起点であるサマセットの工場で製造し、そこでは職人の養成も行う。スコットランドとジャマイカにルーツをもち、現在はロンドンを拠点とするニコラスは"コミュニティ"、"クラフツマンシップ"、"カルチャー"をクリエイションの軸とし、それらを結びつけることが彼にとっての"ファッション"だと言う。「クリエイションを通して、常に自分のルーツとアイデンティティの繋がりを表現している。そして、より広い文化的な話題に対してポジティブな影響を与えていきたいんだ。〈マルベリー〉のクラフツマンシップを支持する姿勢や、環境問題に対する考え方は本当に素晴らしい。とても共感できるし、僕らの間に強い整合性を感じるよ」。クリエイションだけでなく、自身のルーツと紐づくコミュニティやシーンを守り存続させる両者のアプローチは、英国のカルチャーを根源から支えている。「僕にとってのイギリスは、異文化のるつぼ。今回〈マルベリー〉が僕らだけでなく、ロンドンのアップカミングな他のブランドとも共演することはとても素晴らしいことだと思う。僕が常に大切にしており、ファッションで表現したいのはこの国の多様性で、今までイギリスが多くのサブカルチャーを生んできた理由もそこにあるんじゃないかな。この多様性と僕のクリエイティブをファッションで繋ぎたいんだ」。過去の伝統やクラフツマンシップを受け継ぐことで不動の地位を築きながらも、新しい挑戦や可能性を模索しつづける〈マルベリー〉。その柔軟な姿勢に乗せられた〈ニコラス・デイリー〉のカルチャー。クラフツマンシップと、多様性、そしてコミュニティを祝う、英国カルチャーのひとつの基盤を体現した本共演。そこにはシーンも時代も国境も超え、純粋にカルチャーを楽しむ喜びが映し出されている。

モデルには友人のジャズ演奏者をはじめ、ロンドンの若手ジャズアーティストを育成するチャリティ団体のメンバーを起用するなど、自身のコミュニティをフックアップする形でカルチャーを祝う姿が生き生きと描かれた。

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  Mini Antony（Fringe）, Royal Blue￥107800

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  Antony, Mustard-Light Brown￥216700

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  Guitar Strap, Royal Blue-Sapphire￥107800

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  Saxophone Strap, Mustard-Light Brown￥92400