GRIND

Let go, Let in Let go, Let in

CULTURE, FASHION 2026.2.26

Let go, Let in

PARCO 2026 Spring Season Visual

 “Let go, Let in”というテーマのもと、“天空の鏡”と称されるチャカ塩湖を舞台に、広告ビジュアルが制作された。クリエイティブディレクターにはKin Chan Coedel、スタイリストにはZipeng Li、振付師にはPaul Macgill、そして音楽を手がけるのはSigur RosのフロントマンJónsiという布陣で、今回のクリエイティブを生み出した。幻想的な世界を描きつつ、そこにあるのは何かとの出会いや、変化を恐れないことへの敬意と称賛。「クリエイティブの軸として、何かに“出会う”という概念をテーマにしたいと考えていました。その瞬間を構築するために、ダンスから映像がはじまり、湖の女神との出会いを導く様子を描きました。私の作品では、文化やファッションの文脈を取り入れることが多いです。今回は私自身が常に大切にしている自分の自然観、非西洋的な視点、そして強い女性像を描きました」。クリエイティブ・ディレクターのKin Chan Coedelは撮影についてこう語っている。「気候などハードな環境でしたが、モデルやスタッフが驚くほど力を発揮してくれました。こうした撮影の瞬間に深く感じるのは、美しい写真や映像は撮るものではないということです。天候や自然、一緒に仕事をする人たちに与えてもらうものなのです。チーム全体がどれほど懸命に働いたかということ、それがこの撮影で最も私の記憶に残っていることです」。

 PARCOの広告は常に時代を牽引するアイデアや創造性を発信し続けてきた。いまだに語り継がれる作品も多くある。ただピンポイントに需要を喚起したり、企業価値のわかりやすい向上を図るものではなく、目にした人々が解釈できる余白を常に残している。今回のシーズン広告では、“Let go, Let in”というテーマが示すように、葛藤を経て何かを手放す勇気を称え、そこから生まれる変化を肯定する。私たちは情報や商品が飽和していく中で、常に何かを得ることに慣れてしまっているのかもしれない。しかしこの作品は、時には異なるベクトルで物事を捉えて、自らに起こる変化を楽しんでいくという選択肢を提示する。Kin Chan Coedelが言及していた、美しい映像や写真は撮るのではなく“与えられる”ものだという感覚。貪欲に求めることを止めて、何かを差し出した時の、予期せぬ出会いを楽しもう。

RECOMMEND