洋服を通して表現する
ブラックカルチャーの探究
〈ウェールズ ボナー〉が提案する、土着的な雰囲気を持つ上品な佇まいに魅せられる人は多いのではないだろうか。優雅なオーラを放つが、浮世離れしないリアルな空気感も内包している。デザイナーである、グレイス・ウェールズ・ボナー自身のルーツにも繋がるアフリカ文学や史学、社会理論といった幅広い分野のリサーチを経て、クリエイションへと落とし込まれているという過程こそが、その奥行きある表現を可能にしているのだろうか。今シーズンは、アフロ・ラテンカルチャーであるキューバ における1940年代のワードローブに焦点を当てルーツを深く掘り下げたという。このグアジャベラジャケットも、正装として着られるという由緒正しい服をベースに、彼女の視点によって品格を保ったまま洗練された1着に仕上がっている。彼女のクリエイションは、そのアイテム自体既に美しいが、背景やストーリーへの理解、リスペクトを経て一段と際立つのだ。