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CONVERSE ALL STAR LGCY『The Timeless Journey』 CONVERSE ALL STAR LGCY『The Timeless Journey』

CULTURE, FASHION, INTERVIEW 2025.2.12

CONVERSE ALL STAR LGCY『The Timeless Journey』

No.1 stacks bookstore

バスケットボールシューズとして、1917年に誕生したコンバース ALL STAR。マイナーチェンジを重ねながらも設計や製法がほぼ変わることなく、ファッションやカルチャーとも強く結びつきながら、広く親しまれているスニーカーのひとつだ。そして2025年2月、コンバースから新たなフラッグシップモデルALL STAR LGCYが発売される。70’sのALL STARのディテールを踏襲しつつ、現代に寄り添うデザインや履き心地を追求した、まさに原点から未来を見据える1足。コンバースを愛する人だけでなく、今まで手に取ってこなかった人にとっても、この潔くも奥深いALL STAR LGCYがスタイルに新鮮味をもたらしてくれるのではないだろうか。ブランドのアイデンティティを落とし込んだALL STAR LGCYを取り扱う全国6店舗にスポットを当て、それぞれのショップがもつカルチャーとの関係値を探り、6つの視点からこの1足とファッションの可能性を探る。

Photo_Haruki Matsui
Edit&Text_Fuka Yoshizawa

編集することで交差する
カルチャーとスタイル

 神保町に店を構える〈stacks bookstore〉は、主宰の山下丸郎の審美眼で選び抜かれたZINEや書籍、アートの展示を行う一風変わった本屋である。bookstoreと名が付くものの、書籍だけでなく、アパレルの販売や国内外のクラフトビールやワイン、日本酒などを楽しめるバースペースも設けられている。ひとつのカルチャーだけに焦点を当てるのではなく、ジャンルを超え、それぞれの良さを切り取り散りばめていく姿勢は、長年編集者として活躍をする山下ならではの考えが反映されている。「はじまりは6.7年前で、あるブランドがTOKYO ART BOOK FAIRにブースを出すにあたって、ブランドネームとは別の名前を使って出展しようということで付けたのがstacksでした。そこから完全独立というかたちで2021年に神山町にお店をオープンし、友人のアーティストの展示やZINEの出版、輸入をメインでやっていました。ある日、日本酒の蔵から新しいパッケージデザインと販売の仕方の相談を受け、ぜひお店でも販売したいと思い調べたら、酒販や何やら色々な手続きが必要だということを知りました。当時のお店の規模では難しいと判断し、移転を決めました。昨年3月に移転オープンした神保町のお店は、書籍でいうと新刊を取り扱いはじめたり、バースペース、アパレルなど、取り扱いの幅は増えましたが、その時々で自分が興味のあることや好きなモノ、やってみたいことをやり続けているのは変わりません。今まで飲食畑ではなかったから、国内の酒造にはできるだけ足を運んで見学させてもらったり、学びながら新しいことにも挑戦しています。もちろん、『餅は餅屋』といった考え方もあると思いますし、僕自身もひとつに絞りこだわった店も好きですが、編集という職業柄、さまざまなモノやカルチャーと出合う機会が多く、雑多ではあるけれどそういうモノが混ざり合った空間に面白みを感じるんです」。時間をかけず簡単に、ある程度の知識を得られる現代では、実際に何かに触れる機会をもつこと自体が贅沢なことかもしれない。まずは何かに触れることが大切だと言えるだろう。本やアート、ファッション、さらには食といった多分野を横断して、触れる機会を積み重ねていけるのが〈stacks bookstore〉の魅力であり、何度も訪れたくなる要因である。この考え方は店づくりだけでなく、山下のシューズに対する想い、ないしはALL STAR LGCYを同店にて取り扱うきっかけにも繋がっていく。

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 昨年、ALL STARとのコラボレーションも果たした〈stacks bookstore〉。オールブラックで統一された2モデルは、単体で強い主張を放つというより、雑多な空間にも調和する器の大きさや余白をもち合わせており、今回のALL STAR LGCYとも共通する部分がある。「僕自身、何を履いているかがわかりやすいシューズがあまり好きではなく、コラボモデルもオールブラックのシンプルなデザインにしました。現状シューズの展開はコラボしたALL STAR以外はないのですが、そういった背景もあり何か新たにシューズの提案をしたいと考えていたところ、ALL STAR LGCYのお話をいただき展開を決めました」。いい意味で主張しないALL STAR LGCYは、どのように〈stacks bookstore〉に溶け込み、どんな編集がなされるのだろう。

 学生時代からALL STARを履いていたというスタッフの下田も、山下とは違う視点だが、感覚的には共通する部分をもっていた。「僕は、学生時代によく履いていました。やっぱり履きやすくてシンプルで、何にでも合わせやすいのが他にはなくて。当時は周りの友人も結構履いていて、紐をギュッと絞って2重で結ぶみたいなことをやっていましたね。もともとバスケットボールシューズだったというのは、NBA 2Kというゲームで知りました。ゲームの設定で60’sや70’s当時の選手を選択すると、どの選手もALL STARを履いていたのを覚えています。そういう背景があったんだというくらいの感じでしたけど(笑)。学生の頃はブラックばかり履いていましたが、今回ALL STAR LGCYのグリーンを履いてみて、色物の服と合わせても主張し過ぎない馴染みの良さがいいなと思いましたし、僕は今なら色物を選びたい」。20代の彼からするとALL STARは、特定のカルチャーやファッションとの親和性が入り口になっているのではなく、普遍的なシューズの象徴なのかもしれない。そのシンプルさ故の着こなしや履き方は、山下と同様に、視点を変えながら自分なりのアレンジをしている。「僕は蝶々結びが好きではなくて、基本どんなシューズもこの結び方です。すぐ解けるように、すぐ脱げるようにという単純な理由でこの結び方をしていますが、急いでいてもサッと結べて意外と解けないんですよ。あと良い意味で雑味が出るのも好きで、もはやマイルールみたいになっていますね」。フラットな視点で捉えているからこそできる彼の自由なスタイルは、ALL STAR LGCYの過去ではなく、オーセンティンクな存在としての現在から、これからを見据えているようなアプローチにも思えた。コアな部分でファンを熱狂させるだけでなく、純粋に心に刺さるALL STAR LGCYのデザインは、場所に溶け込み、履く人それぞれが自分だけの意味を与えていける。そしてそれは、常に形を変えながら履く人のスタイルを反映していく1足となるだろう。


A special pair with memories.

〈stacks bookstore〉とのコラボレーション発売時に購入したというALL STAR Ⓡ BOARDERSTAR stacksbookstore OX。ヌバックのアッパーと、やや厚底のオールブラックのデザインが特徴の重厚感ある1足。下田がオリジナルでアレンジしたという、シューレースに付いたピンズが目を引き、さりげなくも個性が感じられる。「頑丈なモデルだからまだまだだけど、もっと履き潰してクタクタにしたい」。

stacks bookstore
@stacks_bookstore

Information

CONVERSE JAPAN

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