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Butter Goods / Lo-Fi Butter Goods / Lo-Fi

CULTURE, INTERVIEW 2022.6.25

Butter Goods / Lo-Fi

Interview with Garth Mariano

遊びを起点に
並走する2つの形

オーストラリアは、カルチャーやファッションの面ではあまり馴染みがない国かもしれない。しかし、近年のストリートシーンに目を向けると、その認識を変えるような動きが見受けられる。シーンを牽引する存在として注目を集めるのが、大陸の西端に位置するパースという小さな都市にベースを構える、スケートブランド〈バター グッズ〉とセレクトショップ〈ローファイ〉という2つの存在。そんな両者のファウンダーの1人であるガース・マリアーノへ、日本のメディアとしては初となるインタビューを敢行。ブランドとショップ、2軸を据えたスケートカンパニーの実体に迫ることで浮かび上がるのは、ルーツを大切に、ローカルから世界へ挑むというストリートを体現する姿勢。

Edit&Text Yuki Akiyama

〈バター グッズ〉と〈ローファイ〉のファウンダー、(左)ガース・マリアーノと(右)マット・エヴァンスの2人。

ルーツを辿る
内面との対話

来年に15周年のアニバーサリーイヤーを迎える〈バターグッズ〉。ライダーとともに定期的にトリップを行い、ショートフィルムを制作するなど、スケートブランドとして精力的に活動することはもちろん、近年はプーマやピーナッツなど、ビッグネームとのコラボレーションが多くの注目を集め、スケーターに限らず、支持層を広げている。ファウンダーは、スケートショップのマネージャーをしていたガース・マリアーノとフィルマーのマット・エヴァンスの2人。立ち上げのきっかけは、彼らが出会った学生時代へと遡る。「マットとはハイスクールのときに出会ったんだ。僕らはスケートとか、アートとか、カルチャーがすごく大好きで、よく一緒に遊んでいたよ。その延長で〈バター グッズ〉というブランドをはじめたんだ。当時から変わらず、遊ぶような感覚は今でももちつづけているね」。

2人の青年がスケートボードとアートという共通項を通じて出会い、遊び心でスタートさせた〈バター グッズ〉。アイテムにあしらわれたキャッチーなロゴや童心をくすぐるようなキャラクターが多くのファンを魅了し、今やオーストラリアのシーンを牽引するブランドにまで成長を遂げた。グラフィックには、スケート、音楽、カートゥーンなど、幅広いカルチャーのエッセンスが垣間見られるが、デザインはガース自身が手掛けているという。彼のインスピレーションの源を紐解くことで見えてきたのは、自身のルーツとストレートに向き合う姿勢。「イマジネーションや内面にもっているものを表面化させるために、グラフィックのデザインは自分でやってるよ。インスピレーションとしては、大きな部分ではある意味、スケートにあると言えるかな。幼少期に見てたスケートのビデオ、昔のトランスワールドや411VM、その他のインディーズスケートビデオとかね。あとは小さい頃に観てたカートゥーンの影響はかなり大きいかな。他にも、ヒップホップ、ジャズ、ソウルなどの音楽も大好きで、そこからも影響を受けてるね」。幼い頃から現在に至るまで、自分に影響を与えたカルチャーをモチーフに、グラフィックデザインへと昇華する。今年に発売されたピーナッツとのコラボレーションは、そうした彼のアプローチを象徴するコレクションだといえる。「自分はいろんなカートゥーンが好きだけど、トップに君臨しているのがスヌーピーなんだ。スヌーピーとコラボレーションしたことは、〈バター グッズ〉の中でも、自分の中でもとてもスペシャルだったよ。僕の家はフィギュアやおもちゃがいっぱいあって、見ての通り、カートゥーンが大好きなんだ。スワップミートや古着屋で、スヌーピー、スマーフ、ミッキーマウスとか、いろんなものが目に留まって、常に集めてるよ。とてもいい環境だね」。ガースは子どもの頃の記憶とピュアに向き合いながら、親しみのあるキャラクターをフックアップし、自分たちのルーツやカルチャーとの結びつきを表現する。内面に目を向け、“遊び”を貫くことで生まれた〈バター グッズ〉のクリエイションは、ストリートの根底にあるマインドともリンクする。

音楽、アート、カートゥーン、スケートなど、カルチャーのバックグランドが集約された彼の部屋。好きなモノに囲まれた環境で、家族、愛犬とともに穏やかな日々を過ごす。

ローカルと世界をつなぐ
オフラインとオンライン

〈バター グッズ〉をオーガナイズするショップとしてはじまった〈ローファイ〉もまた、ガースとマットによって手掛けられる。現在では〈ポップ トレーディングカンパニー〉や〈ブレインデッド〉など、名だたるストリートブランドを取り扱い、また、オリジナルアイテムも制作しており、ブランドとしても人気が高い。「マットと街を歩いているときに今の場所を見つけたんだけど、いろんな店が立ち並ぶ中にあって、パブリックにひらけた場所で面白いと思ったんだ。〈ローファイ〉はカルチャーを発信するオープンスペースとしてつくったよ。今後は、ブランドとしてもクリエイションを変えていったり、また、新しいブランドをつくったりして、どんどん領域を広げていきたいね」。ショップとして、またブランドとして、2つの形式で進化をつづける〈ローファイ〉。独自のコミュニティを形成し、グローバルからセレクトされたストリートカルチャーと、そこに集まる人々をオフラインでつなぐ役割を担っている。シーンの中心地として注目されるが、興味深い点は、オーストラリアの中枢を担う東側ではなく、西側の小さな都市パースにベースを構えていることだ。ローカルな場所にあるショップが世界から注目を集める背景には、インターネットの発達が関係しているという。「パースにはとても美しい景色が広がっていて、リラックスできるし過ごしやすいんだ。小さな街だから、子どもの頃はつまんないとか思ってたけど、今はここが最高だと思っているよ。孤立してる街ではあるんだけど、今はインターネットがあるから、東側も西側もカルチャーに大きな違いはないんだ。インターネットのおかげでここでやれているよ」。

オーストラリアの西海岸に位置するパースは、自然に囲まれ、リラックスしたムードが漂う。

〈ローファイ〉を媒介としたフィジカルなコミュニケーションが、パースに根づくストリートシーンを形成し、そこから生まれたカルチャーは、インターネットを通じて広がりをみせる。ガースは、生まれ育った小さな街にベースを置きながらも、その眼差しはオーストラリア、そしてさらに先まで見据えている。「僕らはオーストラリアのスケートシーンが発展していくための挑戦を続けているんだ。昔はストリートカルチャーの土壌がなかったけど、僕たちが成長していくことで、他のオーストラリアのブランドが注目されたり、若い子たちがインスピレーションを受けられるような状況ができあがっていくと信じているよ」。オフラインとオンラインの双方を軸に、ローカルから挑戦をつづけるスケートカンパニー。彼らはシーンを牽引する存在としての自覚と誇りを胸に、これからもストリートを滑走していく。

Information

Butter Goods

https://buttergoods.com/

(日本国内問い合わせ先)
BIGWING, LTD.
TEL_03-5831-5981
http://www.bigwingskate.com/

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