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Burberry × Pop Trading Company Burberry × Pop Trading Company

CULTURE, INTERVIEW 2022.6.17

Burberry × Pop Trading Company

Interview with Peter Kolks, Ric Van Rest

先日突如アナウンスされ、瞬く間に話題をさらった〈バーバリー〉とアムステルダムを拠点にヨーロッパのスケートシーンをリードする、スケートカンパニー〈ポップ トレーディングカンパニー〉のコラボレーション。世界に先駆け、日本での展開がスタートしたこのコレクションは、話題性だけでなく両者がもつ背景やモノづくりへの姿勢が調和する、魅力的なものだ。流行としてのストリートではなく、クリエイションとしてお互いが組む意義がアイテムの数々や、それに伴うビジュアルなどから感じられるのだが、どのようなストーリーが隠されているのだろうか。伊勢丹新宿店メンズ館でのコレクションのPOP UPに際して来日していた、〈ポップ トレーディングカンパニー〉の創設者の2人、ピーター・コークスとリック・ファン・レストに話を聞いた。

Photo_Haruki Matsui
Edit&Text_Shuhei Kawada

流行ではなく
カルチャーとして

 歴史と品格を重んじながら、常にファッションの世界を最前線で率いていく〈バーバリー〉と、徐々にその知名度を広げており、これからのさらなる躍進が期待される、スケートカンパニー〈ポップ トレーディングカンパニー〉。ウエアの数々からスケートデッキに至るまで、フルラインナップが揃ったコレクションからは、それぞれがお互いのキャラクターを引き立てあっていることが見て取れる。その表現からは、異なるシーンへと足を踏み入れる恐れや躊躇は一切感じられない。

〈ポップ トレーディングカンパニー〉の創設者、(左)リック・ファン・レストと(右)ピーター・コークスの2人。

ピーター「1年半前に電話で、日本にフォーカスしたコレクションをやりましょうという話をもらいました。最初は驚きましたが、日本が私たちに対してすごく良くしてくれていたし、日本に対する想いもあったので、悩むことなく即決しました。これだけ大きなブランドと取り組みをするということについて、プレッシャーを感じるというよりも、エキサイティングに進めることができました」。
リック「私たちは、自分たちがどういうことをやってきたか、やるべきかをわかっているので、たとえコラボレーションの相手が〈バーバリー〉のようなブランドであっても、自分たちがやりたいことを実現するために取り組むだけなので、迷いもなくクリアにできたんです」。

臆することなく、彼らが築き上げてきたものをぶつけることで、話題性やトレンドだけでは終わらない本質に迫ったコラボレーションが実現した。また両者による共演というだけでなく、日本に焦点を当てたプロジェクトという点が、コレクションのテーマに表れている。

リック「東京では日中スケートできるところが限られていて、夜にスケートするカルチャーがあるので、そこにフォーカスしようという話から広げていきました」。

特徴的なPOPのロゴ、〈バーバリー〉のチェックという象徴的な要素の融合も随所に光る。また夜のスケートシーンにフォーカスしていることもあり、チェックに光を反射する素材を織り込んでいたりと、服としての完成度と合わせてリアルなスケーターとしての感覚も忘れない。

〈バーバリー〉と〈ポップ トレーディングカンパニー〉、そして東京のストリートシーン。それぞれのスタイルを抽出し、リアルにモノづくりへと反映させている。〈ポップ トレーディングカンパニー〉が当初から続けてきたスケートカルチャーへの愛情を、良いクオリティのプロダクトとして表現していくという姿勢は、〈バーバリー〉が育んできた歴史や生産背景によって、一層高いレベルで可能になった。ブランドの創設から10年にも満たずに、着実にステップアップを遂げていく彼らは、現状をどのように認識しているのだろうか。

リック「2017年に日本ではじめて、自分たちのコレクションを展開した時に、〈ポップ トレーディングカンパニー〉の洋服を街の中で見かけて、思わず叫んでしまったくらいで。最初の頃は友達の友達くらいまでしか着ていなかったものが、今では日本だけでなくイギリスでも、ランダムに見かけるようになったので、成長を感じています。一貫性をもって、根底にあるスケートボードとメンズウエアという2つの軸を、繋ぐということを続けていきたいです」。
ピーター「会社やブランドとして成長してきたからと言って、全てが変わってしまうわけではありません。私はとても頑固なので、今までやってきたこと、自分たちのやり方を変えずにやっていきます」。

規模は大きくなっても、手を組む相手が名のある存在であっても、常に目を向けるのは、自分たちが何をしたいか、ここまで何をしてきたか。クリエイションの軸とルーツを大切にしているからこそ、見えてくる先の景色を、このコレクションから眺めてみてはいかがだろうか。そこには流行ではなく、カルチャーとしてのストリートの姿が、浮かんでいるはずだ。

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