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Beats by Dr. Dre × A-COLD-WALL*<br>Beats STUDIO3 WIRELESS Beats by Dr. Dre × A-COLD-WALL*<br>Beats STUDIO3 WIRELESS

INTERVIEW, ITEM 2021.10.13

Beats by Dr. Dre × A-COLD-WALL*
Beats STUDIO3 WIRELESS

Interview with Samuel Ross

哲学とクオリティを
オーディオに込めて

高い音質と洗練されたデザインによって、オーディオシーンにおける立ち位置を確かなものにしている〈ビーツ・バイ・ドクタードレ〉(以下Beats)とサミュエル・ロスが手がける〈ア・コールド・ウォール〉(以下ACW*)がコラボレーションした、Beats Studio3 Wirelessが10月18日(月)Apple.com、DSM GinzaおよびGR8店頭にて販売される。ワイヤレスヘッドフォンとして、音質はもちろんのこと、アクティブノイズキャンセリングや急速充電など機能性も文句なしのプロダクトに〈ACW*〉のデザインが落とし込まれた。サミュエル・ロスのインタビューからコラボレーションの経緯や、デザインの裏側にある思考に迫り、プロダクトとともにそのストーリーまで堪能したい。

Edit&Text Shuhei Kawada

テクスチャーの追求と
視覚的なコミュニケーション

 〈Beats〉と〈ACW*〉の共演と耳にすれば、自然とその親和性やクオリティの高さについてはなんとなく想像がつくかもしれないが、どのような経緯によってこのプロダクトが生まれたのか、はたまたそこに込められた想いとは一体。〈ACW*〉のデザイナー、サミュエル・ロスの話から、まずはその輪郭に触れる。「僕がさまざまな活動をしている中で、コミュニティを通して知り合う人々から〈Beats〉の話を聞くようになった。直接的な取り組みはなかったけど、話を聞いていたから馴染みはあって、自然となにか一緒にできたら面白いんじゃないかということになっていったんだ。僕はもともとビジュアルコミュニケーションに非常に興味がある。〈Beats〉はとくにユースカルチャーに対するコミュニケーションの図り方が非常に柔軟、かつ多様で素晴らしいと思っていたよ」。洋服だけに限らず家具や彫刻に至るまで幅広い分野のデザインを行うサミュエルは、プロダクトデザインと同様にそこから派生するビジュアルなど、視覚的なコミュニケーションへも強い関心もっており、〈Beats〉のビジュアルコミュニケーションのアプローチには共感を覚えていたのだ。デザインにおいては、〈ACW*〉で表現していることを応用して落とし込んだ。「まず難しかったのは、自分がファッションで表現しようとしているテクスチャーをどのようにして表現できるのか理解する必要があったこと。〈ACW*〉では印刷技術を活用して、素材感を際立たせたりしているけど、ヘッドフォンに置き換えた時にどう表現できるかを考えた。全面的にプリントを施すというのはシンプルに聞こえるかもしれないが、ヘッドフォンの表面だけでなく、耳当ての内側に至るまで、質感を出すことにこだわったんだ」。

 こうして表現されたのが、サミュエルのインスピレーションとして強い影響を与えている、ブルータリズム建築のような佇まいのBeats Studio3 Wirelessというわけだ。洋服などに比べて、形状の制約も大きくなるように思える今回のプロジェクトだが、そこに関してもサミュエルはポジティブに捉えていた。「制約があるというのは、デザイナーにとって魅力にもなり得る。クリエイティブやクリエイターというと、なんでも自分が表現したいものを自由に、できるだけという気持ちが強いものだけど、それは身勝手なことでもあって、独りよがりになってしまい、結果としてブランドやユーザーのためにならないものになってしまう。しかし今回は形が決まっていて、できることが限られていたから、そういう危険性がなかった。だからこそ今回のコラボレーションでは、製品としてのヘッドフォンだけでなく、パッケージには彫刻のような視点を加えたり、はたまたこのプロダクトを身に着ける人々がどのような洋服を身につけていて、どう合わせるのかも考えた。バランスを取るのが面白かったし、制約はあるけど興味深いデザイン課題として取り組んだよ」。プロダクトを自身のエゴでデザインするのではなく、プロダクト自体、そのパッケージング、はたまたそれを使用する人々に至るまで、彼の根底にはビジュアルコミュニケーションへの興味があるからこそ、常に外側との関係性を意識したデザインが成されているのだろう。「基本的にすごく好奇心旺盛なんだ。ファッションデザイナーと言われるけど、自分ではファッションに限らず、デザイナーだと考えている。先にも言ったように、自分がデザイナーとして表現したいことはテクスチャーなんだ。〈ACW*〉でも表現していることだし、いろんなテクノロジーやクラフトを用いて表現していく。そして自分がデザインしたものがどんなものであろうとも、最終的に使用する人の生活に、多かれ少なかれ影響を与えることができるということに非常に関心がある」。今回のコラボレーションにより生まれた名作は、使用する人にとって、上質な音楽体験を提供してくれるだけでなく、自身のスタイルを一段引き上げてくれるようなものでもある。また使用する人だけでなく、そのプロダクトを目にする人にもきっとなにかの影響を与えていく。総じて、デザインから生じるさまざまな矢印のコミュニケーションを可能にするプロダクトが誕生したと言えるだろう。

Information

アップルストアコールセンター

TEL_0120-993-993

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