服を買うという行為のスタイルは、2010年代以降に限っても大きな変化を遂げている。オンラインでの購入は、実店舗でのそれと遜色がないどころか、在庫の状況やバリエーションを考えると、実店舗よりメリットがあると考える人も。ECでの販売をベースにしているブランドも多く存在し、実店舗の意義が問われる実情も長らく続いているように思える。そんな状況で、興味深い動きをスタートさせたのが〈ED ROBERT JUDSON〉と〈BETA POST〉を手がける江崎賢、〈MATSUFUJI〉のデザイナー松藤勉、〈mister it.〉のデザイナー砂川卓也の3者が立ち上げた期間限定のショップ『WINDOW SHOP』。
江崎「もともと事務所として借りているスペースで、ショールームとして関係者向けに使用していました。そこを使用して、一般の人たちにも向けた何かをやりたいなというところからショップというアイディアが自然に出てきました。まずは〈MATSUFUJI〉に声をかけて、そこから〈mister it.〉を誘ってスタートしました。もともとこの物件は窓が特徴的だと考えていて、何かお店をやることがあれば、ウィンドウを活かしたものにしようと。そんな時、卓也くんから昔の写真で、ウィンドウの前で行列ができていて、多くの人が窓越しに店内を覗いているお店のオープン前の様子が送られてきました。今では買い物もネットに置き換わっているけれど、写真にあったようにフィジカルな場所で、現代的なデジタルのものをミックスして生まれるなにか、得られるものを提案できたら面白いよねという話になっていきました」。
窓越しに見えるのは大きなウィンドウを活かしたディスプレイと各ブランドのオンラインサイトにアクセスできるQRコード。店舗の全貌は見えないようになっており、お店に入れるのは週末のみ。ひとまず12月24日までの期間限定プロジェクトにはなるが、各ブランドの色を盛り込んだユニークな発想が繰り広げられそうだ。それぞれのブランドのクリエイションを見ても、つくっているモノ自体に共通点があるのではなく、彼らを結びつけるポイントはその背景にあった。
松藤「3人ともストーリーを考えるのが、好きなことですかね。“こういう事をしたらおもしろいかも”という感覚がそれぞれあり、その表現の仕方が違う3人が話せば面白いお店ができるんじゃないかと」。
具体的なコンテンツはまだ明確に決まっていないとはしながらも、ファッションだけに限らず、書籍や写真、アートなどその可能性は開かれており、3人の興味や好みをシャッフルしながらウィンドウ越しの景色は変わっていく。
砂川「〈ED ROBERT JUDSON〉も〈MATSUFUJI〉も以前から個人的に愛用させてもらっていて好きなブランドです。2人から声をかけてもらった時に何が起こるか分からないけど、このブランドと一緒なら面白そうと思って参加しました。実験的にいろいろとチャレンジできるのでとてもいい機会だと思っています」。
江崎「実験的なアプローチも試したいというのがあったので、この期間に何かを掴めたらいいですね。デジタルが発展していく状況で、あえてアナログな要素を取り入れることで、得られるものを自分たちでも模索しながら、提供していきたいですね」。
フィジカルとデジタルという単純な二極化ではなく、双方の特性を探りつつ、世の中への提案をおこなっていく。ウィンドウにストーリーを忍ばせて、自分たちも楽しみながら生まれる、訪れる人たちとの接点。ひとまず『Window Shop』へ足を運んで、その体験を味わってみてほしい。画面越しでは伝わらないなにかを考えるきっかけになるのではないだろうか。
Information
WINDOW SHOP
WINDOW SHOP
@thewindowshop.jp
Weekend request service
日程:〜12/24(日)
※期間中の各週末(土・日曜日)のみ店舗オープン
11/18,19,25,26 12/2,3,9,10,16,17,23,24
※平日・祝日はウィンドウショッピングを通じて製品のオンライン購入が可能
時間:13:00〜19:00
場所:〒151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷1-28-8 2F
@edrobertjudson
@matsufuji_official
@misterit75003