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SHINYAKOZUKA SHINYAKOZUKA

FASHION, INTERVIEW 2024.5.16

SHINYAKOZUKA

Interview with Shinya Kozuka

自身を受け入れ
ニッチを極める

「‘picturesque scenery’ 絵に描いたような情景」をコンセプトに、デザイナーである小塚信哉の内面を映し出すパーソナルな服づくりを行う〈シンヤコヅカ〉。独自のタッチで描かれるドローイングを起点に展開されるウエアは、1着1着がストーリー性のある情緒的なものばかりだ。最近では「TOKYO FASHION AWARD 2024」を受賞するなど、10周年を目前に、日本だけでなく世界を視野に入れ歩みを進めている。小塚が自身のクリエイションを振り返り見えてきたもの、見つめ直した先の答えとは。

Photo_Kairi Hanawa
Edit&Text_Fuka Yoshizawa

一度壊し、またはじめる

内面から滲み出る情景や感情を、独特なタッチのドローイングや色づかいで表現する〈シンヤコヅカ〉。ベーシックアイテムを色や生地のコントラスト、サイジングなどでひねりを効かせたデザインは、独創的なドローイングも相まって、ひとつひとつがアートピースのようである。2015年にブランドを立ち上げてから、来シーズンで10周年を迎える〈シンヤコヅカ〉。2018年に「Tokyo新人デザイナーファッション大賞」に入賞したり、2022年には直営店「SMALL TRADES」を青山にオープンさせるなど、順風満帆に見える道のりだが、その背景に目を向けると、自身のアイデンティティを模索し葛藤した過去が、今の小塚を形成していることがわかる。
「昔から、自分がいいなと思った服が売れ残っていることが多かったり、みんなが良いと言うものに迎合できなかったり、世の中に対してずっと舌打ちしているようなタイプで、マジョリティじゃないんだなという感覚はありました。僕が極端な性格だからこそ、服に対しては白黒はっきりさせない曖昧さをもたせたくて。Aも良ければBも良い、解釈の余地がある方が楽しいですし。そんな中でブランドを始めて、休む間もなく時が過ぎていき売り上げが伸びる反面、自分じゃなくても成立するんじゃないかと全てマイナスに捉えていた時期がありました。22SSのタイミングで、一度DEAD OR ALIVEのような気持ちで、自分が本当にやりたいことを見つめ直しました。それが意外にも周りから受け入れてもらえて自信に繋がり、徐々にやる気を取り戻して今に至ります」。
自分の中のしがらみを一度壊し、受け入れることで本来の自分を取り戻した小塚。あえて外に目線を合わせない私的なクリエイションは、曖昧だからこそ見る人に解釈の余白をもたらし、いつしか〈シンヤコヅカ〉のアイデンティティとなっていく。

  • スライド

    「DIVE INTO WINTER FEAST」と題したISSUE5、ご馳走とプールという2つのキーワードをもとに、得意のドローイングで冬らしい柄や模様、ご馳走を想起させるモチーフを描いたり、水面を思わせるような艶のある生地を使用するなど、小塚なりの解釈でテーマを存分に表現した。生憎の雨の中行われた24年3月5日のランウェイでは、モデル全員にはかせたフィンや潜水帽といった小道具も相まって、実際にプールの中にいるような幻想的な空間を演出した。

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    「DIVE INTO WINTER FEAST」と題したISSUE5、ご馳走とプールという2つのキーワードをもとに、得意のドローイングで冬らしい柄や模様、ご馳走を想起させるモチーフを描いたり、水面を思わせるような艶のある生地を使用するなど、小塚なりの解釈でテーマを存分に表現した。生憎の雨の中行われた24年3月5日のランウェイでは、モデル全員にはかせたフィンや潜水帽といった小道具も相まって、実際にプールの中にいるような幻想的な空間を演出した。

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    「DIVE INTO WINTER FEAST」と題したISSUE5、ご馳走とプールという2つのキーワードをもとに、得意のドローイングで冬らしい柄や模様、ご馳走を想起させるモチーフを描いたり、水面を思わせるような艶のある生地を使用するなど、小塚なりの解釈でテーマを存分に表現した。生憎の雨の中行われた24年3月5日のランウェイでは、モデル全員にはかせたフィンや潜水帽といった小道具も相まって、実際にプールの中にいるような幻想的な空間を演出した。

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    「DIVE INTO WINTER FEAST」と題したISSUE5、ご馳走とプールという2つのキーワードをもとに、得意のドローイングで冬らしい柄や模様、ご馳走を想起させるモチーフを描いたり、水面を思わせるような艶のある生地を使用するなど、小塚なりの解釈でテーマを存分に表現した。生憎の雨の中行われた24年3月5日のランウェイでは、モデル全員にはかせたフィンや潜水帽といった小道具も相まって、実際にプールの中にいるような幻想的な空間を演出した。

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    「DIVE INTO WINTER FEAST」と題したISSUE5、ご馳走とプールという2つのキーワードをもとに、得意のドローイングで冬らしい柄や模様、ご馳走を想起させるモチーフを描いたり、水面を思わせるような艶のある生地を使用するなど、小塚なりの解釈でテーマを存分に表現した。生憎の雨の中行われた24年3月5日のランウェイでは、モデル全員にはかせたフィンや潜水帽といった小道具も相まって、実際にプールの中にいるような幻想的な空間を演出した。

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    「DIVE INTO WINTER FEAST」と題したISSUE5、ご馳走とプールという2つのキーワードをもとに、得意のドローイングで冬らしい柄や模様、ご馳走を想起させるモチーフを描いたり、水面を思わせるような艶のある生地を使用するなど、小塚なりの解釈でテーマを存分に表現した。生憎の雨の中行われた24年3月5日のランウェイでは、モデル全員にはかせたフィンや潜水帽といった小道具も相まって、実際にプールの中にいるような幻想的な空間を演出した。

情景を思い起こすための服

22SSから、コレクションではなくISSUEとして発表方法を変更した〈シンヤコヅカ〉。それまでのクリエイションを再構築してからというもの、シーズンを重ねる毎に世界観を確立させている。ランウェイに対する小塚の想いにもみなぎる自信が感じられる。
「ニッチな部分はもちつつ、わかりやすいテーマ性みたいなところは意識しています。自分が心動かされるものに対してなぜいいと思うのか、この絵が何を言いたいのかなど、日頃から考える癖はあるけど、言語化できるようになったのは最近です。ランウェイでは、服をはじめ、音楽やロケーション、モデルのパーソナリティを当て込んで、ブランドとしてのアティチュードを示しています。よくディテールが見えないとかも言われますが、それはルックで見てもらえればという感じで、情景を描くことを何よりも大切にしています」。
私的という軸は変わらず、多くの人が共感できるテーマ性をもたせることで、〈シンヤコヅカ〉のニッチなストーリーにわかりやすさが加わる。ランウェイにおいて、全体を見てほしいという想いは、「全ての要素が合わさることでひとつのストーリーをつくる」という小塚なりの外に向けたコミュニケーションとも捉えられる。情景を描くことは、小塚自身の服への向き合い方にも共通していた。
「本当に良い意味で、服に興味がなくなりましたね。昔はテクニックひとつにこだわっていましたが、よく考えると意外とどうでも良いことだなって。服を蔑ろにしているわけではなく、僕にとっての服は、それ自体が主役になるのではなく、いろいろな情景を思い出すための要因のひとつに過ぎないと気づいて。そのために服があり音楽や背景がある。僕が服に対して感動してきた部分はそこなんです。こういうニッチな人間だからこそ、ニッチな人々が救われるような服づくりを変わらずに続けたいです」。
自身を見つめ直し取捨選択し続けることは、失敗も成功も含めて自分自身への理解に繋がる。小塚の服づくりは極めて私的である。だからこそ服との距離を置くことで、クリエイションは閉鎖的になるのではなく、全体を見渡したストーリーとして描かれる。〈シンヤコヅカ〉が描く情景は、自分を受け入れた先にあるひとつのスタイルを映し出している。

小塚信哉
〈シンヤコヅカ〉デザイナー。高校生の頃の友人に「おしゃれやな」と言われたことをきっかけにファッションの道に進む。2013年にセントラル・セント・マーチンズを卒業し、2015年に自身の名を冠したブランドをスタートさせる。2022年3月には初の直営店「SMALL TRADES SHINYAKOZUKA」をオープンさせた。

Information

SHINYAKOZUKA

@shinyakozuka

shinyakozuka.com

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