GRIND

PALACE SKATEBOARDS from vol.101 PALACE SKATEBOARDS from vol.101

CULTURE, INTERVIEW, MAGAZINE 2021.1.4

PALACE SKATEBOARDS from vol.101

Interview with LEV TANJU & GABRIEL PLUCKROSE

Photo Bafic, Styling Gabriel Pluckrose, Model Lucien Clarke, Charlie Birch, Austin Bristow, Edit Hiromu Sasaki

LEV TANJU
founder

ーあなたのクリエイティビティのベースには何があるのですか?

これといって具体的な事は無いんだ。ただ自分がやりたいと思うことをやっているだけだし、特別何かにフォーカスすることも無いね。大抵は馬鹿みたいなアイディアがいい結果につながることのほうが多いかな。


ースケートビデオのBGMにダンスミュージックを積極的に取り入れたパイオニアはパレスだと思っています。当時はロックやヒップホップが主流だった中、なぜダンスミュージックを選んだのですか?

そう思ってくれているのはうれしいね。それは紛れもない事実だよ。最近はよく分からない多くのブランドが、そろいにそろってひどいエレクトロミュージックやドラムンベースミュージックを使っているけどね。当時俺はOmar-SやTheo Parrish、URといったアーティストたちにめちゃくちゃ影響を受けていたんだ。嘘だと思うだろうけど、彼らの音楽に夢中になりすぎてパーティーに遅れたこともあったよ。はじめてビデオをつくった時も、ダンスミュージックがすごく良い感じにハマったんだ。だからそのまま活かすことにしたって感じだね。


ー一方で最近のビデオでは、英国ブルースロック代表するアーティスト、PeterGreenも使っていましたね。あなたのセレクションを聴いていると、現在の音楽カルチャーのムーブメントの最前線とリンクしていると感じることが多々あります。あなたにとっての音楽の重要性や、実際にクリエイションに落とし込まれる過程を聞きたいです。

ありがたい言葉だね。どの音楽も俺にとっては重要で、ムードを変えてくれる大事なものさ。かといって、編集していない時はそんなに音楽を聴いている訳でもないんだよね。なんとなく聴き流したり、パーティーで聴いて気になった曲を携帯のメモに残しているんだ。そして映像を編集するぞって時に、ためておいた6ヵ月分くらいのメモを活用するってわけさ。たとえば『BETAMAXIMUM PALACE』って映像の中で使ってる音源は、東京のBREAKFAST CLUBってところで聴いたやつなんだけど。その時はめちゃくちゃ酔っ払ってたけど、しっかりとメモしてあったんだ。それで映像のトラックに使ったってわけ。


ースケートや音楽といったカルチャーをベースに、伝統的な老舗ブランドやサッカーチーム、トレイルシューズメーカーなどとの独特なコラボが目を引きます。そんなパレスの取り組みからは、ストリートから広がる無限の可能性を感じることができるのですが、あなたにとっての“ストリート”とは何でしょうか?

難しいな…。多分ストリートって自分の環境から成り立つものだと思うな。例えば君の仕事が最低なものだったとしても、それって結局ストリートだし他の仕事と変わらないんだ。思うに地に足をつけて、自分の周りのことを注意深く見て知っておくことだと思うんだよ。だからこの“ストリート”ってことに関しては、違った考え方がまだたくさんあると思うね。常識的に認知されていることは、まだ一部分でしかないってことなんじゃないかな。


ースケートボードはパレスにとってのコアであり心臓部分だと思います。ただあなたたちのクリエイションや取り組みを見ていると、さらにその先へ目を向け、新しい価値観を築きあげようとしているのではと感じてます。パレスとしてこの先どのような存在でありたいと考えていますか?

俺が好きなこと、パレスで働いてくれている仲間、そしてスケーターたちが好きなことを表面化させたものが、パレスとなっている。俺はスケートとは関係無い全然違うこともすごく好きだし、別に新しい価値観をつくろうなんて試みもしていないよ。どちらかといえばただ俺自身の価値観を、みんなに提案しているだけかな。俺たちは俺たちのことをやっている、それを周りの人たちは俺たちが新しい価値観をつくっていると解釈している。なんていえば良いのかな、パレスはビジネスとして機能している趣味みたいなものなんだ。たとえば俺は〈ラルフローレン〉が好きだし、フットボールのゲームシャツも好き。だからパレスがしてきたことも俺らにとっては自然なこと。そうやってたどっていくと、俺の中にあったスケートビデオと音楽という2つの好きな事柄がひとつになることは、人間が自然に結婚するのとなんら変わりないことなんだ。特定の音楽が好きで特定の感覚をもっていれば、嘘っぽくつくり込まれていない自然な“ストリート”を感じる、素晴らしいスケートビデオをつくることができる。もし君が良いセンスをもっていて、それが心で感じている自然なものであれば、君がやることは全て素晴らしいものになるはずだよ。

GABRIEL PLUCKROSE
designer

ーまず最初にどのようなバックグラウンドをもっているのですか?

ロンドンのアートカレッジでファインアートを学んでいたんだけど、ドロップアウトしたんだね。昔から洋服には興味があったんだけど、ファッションのフィールドで働こうとは一切考えていなかったんだ。でもファッションって僕が10代の時に夢中だったサブカルチャーと強いつながりがあったし、それ自体が大きな要素だったからね。だからファッションの勉強はしていないけど、17歳くらいの頃からロンドンにある洋服屋で働いていたね。


ーパレスのデザイナーとして働きだした経緯やきっかけとなるストーリーを教えてください。

レブはパレスをはじめて割とすぐに、スケートボードに加え洋服もつくりたいって決意した。そして彼に一緒にやらないかって誘われて、アイディアを交換しているうちに、パートタイムで洋服のデザインをするようになったんだ。そこからだんだんとフルタイムになっていって、よりパレスという母体にのめり込んでいった感じかな。


ーデザインをする上でのインスピレーションソースは何が多いですか? また、今回のコレクションで何か特別に感じているものはありますか?
今回のコレクションだとスポーツシャツは、間違いなく僕にとって特別なものだね。個人的に好きな“ユーモア”の要素をデザインに落とし込もうとしたんだ。それから“Matane”というグラフィックは今は東京に戻って住んでいる古い友人のイサオに向けたメッセージ的なものだったりもする。それから亡くなった祖父のコレクションだったポストカードや切手からインスパイアされたシャツもあるね。こんな感じで個人的な経験や記憶がデザインには割とストレートに反映されているね。


ーパレスのプロダクトは良い意味でトレンドっぽさがなく、独自のスタイルを感じることができます。ひとつの要素としてデザイナーでもあるあなたの感性が、大きく影響を与えていると思うのですが、デザインについてどのようなポリシーがありますか?

トレンドの枠にとらわれないで、カルチャー的つながりをアイテムにもたせようとしているよ。僕たちの多くは強い個性をもったサブカルチャーが、ファッションの入り口になっているからね。自分が好きなことには心地良さや自信があるし、幸運なことにこれまでいろいろな価値観をもった人たちに囲まれて生きてこられた。それが僕のデザインを、アイディアを、そしてアイデンティティを強化しているんだ。僕たちがパレスでやっていることに対して、人々が惹きつけられているのを見られるのはとても光栄なことだね。


ーアイテムの特徴のひとつとして、テック素材があげられると思いますが、ロンドンの気候に関係しているのでしょうか? ロンドンのシーンにおける、テック素材とファッションの関係性を教えてください。

僕は常に洋服そのもののデザインだけでなく、機能性ももたせたいと思っているんだ。これまでたくさんのアウターを着て育ってきたけど、それは確かに天候も関係しているね。一方でイングランド出身の僕たちの世代にとってアウターは、大きなカルチャー的要素を持っているんだ。スケートをしてようがグラフィティを描いていようが、フットボールに行こうが、“ジャケット”は今も昔も変わらず大事なものさ。それに20年間も洋服をデザインしてきた経験をもつデザイナーのクリスの側で働けていることは大きいね。僕たちはデザインのことやお互いの趣味の話をよくするけど、アウターは服のカテゴリーの中でも、デザインするのが最高に楽しいと2人とも思っているんだ。


ーあなたの頭の中には多くのデザインソースがあるかと思います。頭の中のアイディアから実際のプロダクトのデザインに落とし込まれるまでのプロセスを教えてください。

アイディアはいつも異なるところから得ていて、無意識のうちにしまってあるんだ。大事なことはいつでもアイディアを得るためのアンテナを張っておくこと、そして自分自身がオープンでいるということなんだ。これが僕が好きなことや、嫌いだったけど今では好きなことからアイディアとしてストックされるプロセスさ。その頭の中にあるアイディアを目に見えるかたちに置き換えて、洋服に落とし込むようにしている。そうすることでより一層アイディアが深まり、そこからユーモアが足されていくんだ。

RECOMMEND