CULTURE, FASHION, INTERVIEW 2020.7.23
GRIND CULTURE COLUMN
OAKLEY 『KOKORO COLLECTION』
両者の熱意の共鳴による
アート的コラボレーション
スポーツ&ライフスタイルブランドとして不動の認知度を誇る〈オークリー〉からカプセルコレクションとして、NYを拠点にした日本人アーティスト、山口歴氏とのコラボレーションがローンチされる。感情、思考、精神を包括した日本語の「心」という言葉から名付けられたこのコレクションを、山口氏のアートへの想いや、コラボレーションの背景から探っていく。
スタイルから広がる
表現の可能性
スポーツとライフスタイルに根差したブランドとして歴史を刻んできたオークリー。世間一般的にもスポーツシーンとの結び付きが強く連想されているのではないだろうか。もちろんクリエイションのコア部分にスポーツは存在しており、その軸無しには今のブランドの絶対的地位も為し得ていないだろう。しかしリアルなシーンに寄り添い追求されたプロダクトのクオリティは、ファッションやカルチャーとの密接な関係性を生み出しており、そこから実現されたクリエーターやデザイナーとのコラボレーションを通じて、オークリーの魅力を多角的に表現してきているのも事実としてあげられる。
今回新たにローンチされる「KOKORO COLLECTION」のコラボレーターとして、NY在住の日本人アーティスト山口歴氏が抜擢された。アート、ジェスチャー、フォルムの可能性を広げる、独自の立体的で彫刻のような絵画を描くスタイルに注目し、今回のコラボレーションを依頼したとオークリーサイドは話す。山口氏も、「もともとオークリーのプロダクトに対しては、高校の頃から格好良いなと思っていて、ファンとして憧れていましたね。フロッグスキンというモデルなど、カルチャーシーンとの密接な関係性もあると感じていました。今回そのモデルも制作させていただいたんですけど、夢のひとつでもあったので、それが叶ったからすごく嬉しかったです」。
山口氏の作風としてブルーを基調としたアート作品のイメージが強いが、最近はテーマや被写体にあわせてカラーに縛られることなく、より自由に表現しているように感じる。「今回のお話を頂いてから、二度オークリーの本社にお伺いしたんです。その時に受けたパッションがカラー決めに影響しています。僕は基本的にひとりで作品と向き合っているんですけど、オークリーって色々なアスリートとの取り組みをされているんですね。それで“色々”ということから着想を得て、カラーも多種多様にしようと思ったんです。今回のマルチカラーというのもそこからインスピレーションを受けたのが大きかったですね」。
カスタム仕様のオリジナル機械による、特殊なスピン技法を用いて本コラボレーションアイテムは制作された。
アートを日常へ
今回のコラボレーションアイテムは、フレーム部分に山口氏のアートがペイントされているのだが、本来であれば“ブラシストローク”という手法を使ってドローイングされる同氏の作品。アイウエアのフレーム部分は普段と比べてペイントを施す面積が小さいのが難点だ。「僕の作品をどうやってフレーム部分に落とし込むのかというところは、かなりオークリーの技術者の方とディスカッションしましたね。結果として特殊なスピン技法を用いたカスタム仕様の機械を作っていただいて、プロダクトの制作をさせていただきました。そうしたサポートのおかげもあって、僕としてはアート作品を作った感覚に近いんです。アイウェアという彫刻作品を僕のペイントで作らさせていただいたという感覚が強いですね」。両者の熱意によって実現された、日常に近しい存在であるアイウェアをアート作品として表現する試み。「世間的にはまだアートに対する敷居が高いと思うんです」とも話す山口氏。垣根を超えてほしいという想いが込められた今回のコラボレーションを身につけて、アートを日常に近しい存在として楽しんでみてはいかがだろうか。
PROFILE
OAKLEY 『KOKORO COLLECTION』
OAKLEY
アメリカ・カリフォルニア州、フットヒル・ランチに本社を構える1975年に創業されたスポーツ&ライフスタイルブランド。全世界で約800以上の特許取得という技術を生み出し、アイウエア業界では不動の地位を確立したブランドのうちのひとつだ。クオリティの高さから、リアルなスポーツジャンルのトップアスリートからの支持が高いのも、ブランドを支えている大事な事実だ。
@ oakley
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山口歴
東京都渋谷区出身。現在はニューヨークのブルックリンに拠点を置く日本人アーティスト。「カット&ペースト」と呼ばれる独自の技法を用いて描かれる作品は、絵画の根源的要素である筆致そのものが、キャンバスという従来の枠組みを飛び越えて存在する、立体的なアート作品として見る者を惹きつける。近年では立体的かつエネルギッシュな作品で、垣根を超えたコラボレーションなど活躍の場を広げており、アート、ジェスチャー、フォルムの可能性を先へと押し進めている。
@meguruyamaguchi
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問い合わせ先:ルックスオティカジャパン(オークリー)
TEL_0120-009-146