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FASHION, INTERVIEW, ITEM 2022.12.2
côte&ciel × DESCENTE ALLTERRAIN
機能を究める
哲学の共鳴
建築的なアプローチから生まれる独特のフォルムが人気を博すパリのバッグブランド〈コート エ シエル〉と日本のスポーツウエアブランド〈デサント〉から派生したアーバンライン〈デサント オルテライン〉。両ブランドに共通するのは、“Form follows function (デザインは機能に従う)”というモノづくりにおける哲学だ。それぞれのデザイナーであるエミリー・アルノー(コート エ シエル)と山田満(デサント オルテライン)の言葉を通じて、単なる協業ではなく、クリエイションの根底から共鳴するコラボレーションの魅力に迫る。
Photo_Haruki Matsui
Edit&Text_Yuki Akiyama
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ビジョンを共有し
境界を超える
〈コート エ シエル〉が〈デサント オルテライン〉のモノづくりの信念に共感し、アプローチしたことから実現した今回のコラボレーション。それぞれのアイコンとなるモデルをベースとしたバッグとダウンの2型がローンチされたが、最大の特徴はまるで両ブランドの共演を体現するように、2つを1つにドッキングできるギミックを施した点だろう。両者は“Form follows function(デザインは機能に従う)”という哲学を掲げ、飾りとしてのデザインではなく、機能をともなったデザインを追求するという点において共通する。拠点とする国やモノづくりの領域は異なるが、互いが同じビジョンを共有しているからこそ、リスペクトしあい、目標に向かってともに歩みを進めることができる。
エミリー「私が布でモックアップをつくって説明し、それに山田さんがボードに描いたドローイングで答えるというビデオ交換を何度も繰り返しました。私たちのデザインアプローチは異なりますが、そのプロセスはまるで2つの魂が同じ方向を向いているようで、とても詩的で素晴らしかったです」。
山田「互いがカバーする領域は違えど、思想やブランドの方向性に共通項が多いのではないかという〈コート エ シエル〉からの勧めもあり、意気投合するのは早かったですね。会話の中でアイデアが浮かぶと同時にスケッチを描き出したりして、気がつくといつも時間をオーバーしていました。互いの『らしさ』をきっちりと形にしようということは意識しましたね」。
それぞれの強みを活かしつつ、異なるフィールドにありながら同じ方向を向くパートナーの力を借りることで進化した2つのプロダクト。〈コート エ シエル〉と〈デサント オルテライン〉の共演は、国やジャンルの境界を越え、機能性の先にあるスタイルを求める人々の生活に寄り添うことだろう。
SORMONNE MÉTAMORPHE
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エミリー「今回のコラボレーションで新しくリリースされた『SORMONNE』はよりコンパクトに、機能的に進化しました。私はいつもバッグとアパレルの中間のようなものをつくってみたいと思っていました。ただ、普段バッグをつくる自分がアパレルをデザインするためには、他のパートナーと手を組む必要があります。その点〈デサント オルテライン〉はアパレルに対して深い知識をもっているので、完璧なパートナーです。“Minimal for the Maximal / Maximal for the Minimal”は〈コート エ シエル〉のベースラインですが〈デサント オルテライン〉のものでもあり得たと信じています」。
メインコンパートメントを取り外し、付属のストラップを装着することでトートバッグとしても活用できる〈コート エ シエル〉のアイコン『SORMONNE』の新型。ダウンとのドッキングを想定した構造には、アパレルデザインを得意とする〈デサント オルテライン〉のエッセンスが込められる。機能的であることはもちろんのこと、その洗練された佇まいは、ビジネスのみならずファッションシーンにおいても活躍するだろう。
MIZUSAWA DOWN OVERSIZED JACKET "CHRONICLE"
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山田「2022年の新モデル『CHRONICLE』をベースに、従来よりもダウン量を抑えたライトダウンモデルとなっています。シルエットはバッグとのドッキングを考えてオーバーサイズにアップデートしました。我々が目指すのは、機能性や実用性を追求しつづけることで、国やカテゴリーといったボーダーを超えて多くの人に最良のプロダクトを届けることにあります。今回のコラボレーションでは〈コート エ シエル〉と一緒にその目標に少し近づくことができたと思っています」。
岩手県の工場でつくられる水沢ダウンは〈デサント オルテライン〉のクリエイションを象徴するアイテム。〈コート エ シエル〉の手が加わることで進化した1着は、背面のジッパーからバッグのストラップを差し込み、フロントポケットの内側にあるバックルと接続することができる。2つのプロダクトを1つに纏うことで、同じビジョンを共有し、根底からつながる両者のクリエイションを肌で感じていただきたい。