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CONVERSE ALL STAR LGCY『The Timeless Journey』 CONVERSE ALL STAR LGCY『The Timeless Journey』

CULTURE, FASHION, INTERVIEW 2025.4.30

CONVERSE ALL STAR LGCY『The Timeless Journey』

No.5 Dice&Dice

バスケットボールシューズとして、1917年に誕生したコンバース ALL STAR。100年以上の歴史のなかで多くのアップデートを重ね、ファッションやカルチャーとも強く結びつきながら、広く親しまれているスニーカーのひとつだ。そして2025年2月、コンバースから新たなフラッグシップモデルALL STAR LGCYが発売された。70’sのALL STARのディテールを踏襲しつつ、現代に寄り添うデザインや履き心地を追求した、まさに原点から未来を見据える1足。ヴィンテージを好む人だけでなく、今まで手に取ってこなかった人にとっても、この潔いシンプルさがスタイルに新鮮味をもたらしてくれるのではないだろうか。ブランドのアイデンティティを落とし込んだALL STAR LGCYを取り扱う全国6店舗にスポットを当て、それぞれのショップがもつカルチャーとの関係値、そして6つの視点からファッションの可能性を探る。

Photo_Haruki Matsui
Edit&Text_Fuka Yoshizawa

ストーリーを添えて
モノ以上の価値を

 福岡を拠点に、30年以上の歴史をもつ〈Dice&Dice〉は、モードやテーラー、生活雑貨といったジャンルの垣根を超えた商品を取り扱う粋なセレクトショップ。バイヤーというポジションは存在せず、スタッフそれぞれがもつ担当ブランドやプロダクトに対して、感動できるモノづくりかという独自の視点でセレクトを行う。日々店頭での販売に加え、イベントの開催やブランドのデザイナーへの取材コンテンツなど、店頭とSNSでのクロスオーバーしたコミュニケーションにも力を入れている〈Dice&Dice〉。その根底にあるのは、いかに正確に、真摯に商品の魅力を伝えるか。スタッフの井上和志にその真意を尋ねた。「僕のなかで〈Dice&Dice〉は、日本で1番デザイナーさんとお客様の距離が近いショップなのではないかと思っています。毎月のようにイベントを開催しているのですが、その際にデザイナーさんに来店いただいて直接コミュニケーションをとる機会を設けています。やはり直接お話を聞けるという貴重な機会やそのストーリーに感動をされてお買い物を楽しんでいただいている印象があり、僕たちが商品に対して感動したり共感した熱量を、お客さまにも同じように感じてもらいたいという点は特に重要視しています。コミュニケーションを大切にしていることもあり、日々来店されるお客様も、そういうスタッフへの信頼のうえで商品を購入していただいている気がします。ただ、今はオンラインショッピングも主流です。同じ金額をお支払いいただいている以上、直接コミュニケーションが取れない分、モノの価値をきちんと提供することや、オンライン上でも同じ熱量を伝えることは義務だと捉えています。だからこそ、SNSでのコミュニケーションをどうとっていくかをスタッフ全員が考え、デザイナーさんへのインタビューなど、読みもののコンテンツを制作しています。僕たちが最高品質だと感じ、自信をもってセレクトしたモノについてお伝えしていきたいと考えています」。店頭もオンラインも同等と捉え、直接コミュニケーションを取れなかったら別の方法を模索する。〈Dice&Dice〉は自分たちのセレクトを店頭での会話はもちろん取材やイベントを通して誠実に伝えるという、つくり手と消費者を繋ぐ上での基礎を徹底し、磨きをかけていく。小難しいマーケティングや最先端の手法を用いるのではなく、自分たちが選んだアイテムへの愛や興味を届けることで、モノ以上の価値提供を行っている。この店づくりにおいて、ALL STAR LGCYが欠けていたピースを埋めてくれる役割を担っていく。

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 カジュアルなリアルクローズからクラシックスタイルまで、スタッフそれぞれが、モノのもつ背景に感動した“最高品質”と言える商品だけを国内外のデザイナーズブランドを集めた〈Dice&Dice〉。そんな選りすぐりのアイテムが集まったショップのなかで、2月に発売したALL STAR LGCYはどのように機能するのだろう。「〈Dice&Dice〉にはもちろんシューズの取り扱いがあり、ハイテクスニーカーや革靴というのは素晴らしい商品を取り扱っているのですが、唯一ローテクスニーカーだけは欠けていたアイテムだったんです。だからこのタイミングで、新しく登場したALL STAR LGCYをお取り扱いできることは、〈Dice&Dice〉にとっても嬉しいことです。デザインに対するこだわりはもちろん、履き心地が昔僕が履いていたモノと比べ格段に向上していて感動しました。これは実際にお客様に体感していただきたいポイントのひとつですし、店内のシューズの幅だけでなく、お客様に提案するスタイリングの幅が間違いなく広がると思います。コンバースをはじめとする、世の中に数多く存在するスニーカーブランドは、基本的にスポーツにルーツをもっており、現在もスポーツとファッションの両面をサポートしていると思います。ただ僕のなかでは唯一コンバースだけ、圧倒的にファッションに重きを置いている印象があります。ジャンル問わず、時代を彩ってきたアイコン的存在の人の足もとは必ずと言っていいほどALL STARのイメージで。そういう人々に憧れてきた僕にとってALL STARは、カッコいい大人のスタイルの一部分でした。僕は学生時代、古着屋で出合ったALL STARのストーリーに惚れ込み購入したのですが、当時はハイカットスニーカーのカッコいい合わせ方が分からず、あまり登場機会がなかったんです。今は洋服屋としてこのALL STAR LGCYをどう合わせたいかが明確にあるのですごくワクワクしているのですが、当時の僕と同じように、合わせ方に悩んでいるお客様も絶対にいると思うので。そういう方に僕の経験を通して、ALL STAR LGCYの魅力をお伝えできたらと考えています」。

ディテールの再現度などデザインに対するアプローチや現代の技術を惜しみなく注ぎ込んだALL STAR LGCYは、ベーシックで、多くの人に寄り添う1足。〈Dice&Dice〉がセレクトするアイテムに、ストーリーやカルチャーを添えて、モノ以上の価値を与えていくのと同様に、どんな人がどう履きこなすかによって、その人にとってのオリジナルとなり、単なるスニーカー以上の存在となる。突飛なことをする必要はなく、洋服やカルチャーを楽しむという基本を体現し、時間をかけて自分のスタイルを刻んでいく過程に、その楽しさがあるのかもしれない。


A special pair with memories.

散々履き潰してしまったので現在は実物がないと言う井上の思い入れのある1足は、古着屋で購入したJACK PURCELLとALL STARのハイカットスニーカー。「どちらも古着屋で購入しました。当時はストリートが流行っていたなかで、何か別の面白いスニーカーを探していて見つけました。何も知識がない僕に店員さんが教えてくれたスニーカーのうんちくや、背景のストーリーに、当時の自分はすごく感動して。特にJACK PURCELLは、後にカナダに留学に行った際、空港を降りた時に履いていて、JACK PURCELLのルーツもカナダのバトミントンプレイヤーから名付けられたという話を思い出し、1人でテンションが上がったのを覚えています。留学中にたくさん履きました。ALL STARのハイカットに関しては、ストーリー性に感動しすぎて自分のサイズと合っていないモノを買ってしまうという(笑)。でもそのくらい、僕にとってコンバースのスニーカーは、モノの背景とともに購入した思い出のスニーカーです」。

Dice&Dice
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