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CONVERSE ALL STAR LGCY『The Timeless Journey』 CONVERSE ALL STAR LGCY『The Timeless Journey』

CULTURE, FASHION, INTERVIEW 2025.3.24

CONVERSE ALL STAR LGCY『The Timeless Journey』

No.3 WAKE.

バスケットボールシューズとして、1917年に誕生したコンバース ALL STAR。100年以上の歴史のなかで多くのアップデートを重ね、ファッションやカルチャーとも強く結びつきながら、広く親しまれているスニーカーのひとつだ。そして2025年2月、コンバースから新たなフラッグシップモデルALL STAR LGCYが発売される。70’sのALL STARのディテールを踏襲しつつ、現代に寄り添うデザインや履き心地を追求した、まさに原点から未来を見据える1足。ヴィンテージを好む人だけでなく、今まで手に取ってこなかった人にとっても、この潔いシンプルさがスタイルに新鮮味をもたらしてくれるのではないだろうか。ブランドのアイデンティティを落とし込んだALL STAR LGCYを取り扱う全国6店舗にスポットを当て、それぞれのショップがもつカルチャーとの関係値、そして6つの視点からファッションの可能性を探る。

Photo_Haruki Matsui
Edit&Text_Fuka Yoshizawa

両者を象徴する
新鮮な普遍性

 北海道・札幌の雑居ビルの3階に店を構える〈WAKE.〉は、地元民のみならず、都内や地方からもファンが訪れるという言わずと知れた人気店。オーナーの小俣弦也は、前職では古着やヴィンテージ家具を扱うショップにて、バイヤー兼マネージャーを勤めていた。2019年の独立後すぐにはじめたという〈WAKE.〉だが、道内ではあまり見かけないブランドや別注アイテムも多数ラインナップされ、その独自のセレクトとリアルなムードが幅広い客層に支持されている。公式サイトやECはなく、実店舗に重きを置くスタイルも特徴的だが、小俣の話から見えてくるのは、地方に根を張るからこそ感じられるリアルなコミュニケーションの重要性と進化する過程にある原点回帰の姿勢。「僕の地元は北海道の猿払村という、人口は2600人くらいしかいない小さな村です。本当に何もない場所で育ったのですが、ルーツを辿ると父親の存在が大きかったなと感じます。父親の部屋が屋根裏部屋みたいになっていて、その空間が好きだったんです。窓があって光が入ってきて。当時はよく父親のクローゼットから洋服を盗んでいましたね。そういう個人的な思い出もあり、〈WAKE.〉も屋根裏部屋のようなイメージでつくりました。当時の札幌はわかりやすい路面店が主流の中、雑居ビルを選んだのもその理由です。好きな人が好きな時に来て楽しんでくれればいいなと思い、この場所でスタートさせました。僕が若い頃は雑誌が全盛期で、欲しいモノがあっても東京に行かないと買えなかったり、なんでこっちにはないんだろうみたいな経験を散々しました。やっぱり東京には憧れがありましたが、その逆転現象が起きればいいなと。わざわざ〈WAKE.〉に来る意味をつくれたら、札幌ないしは北海道を盛り上げられるんじゃないかなと思うし、長年来てくださっているお客さんへの恩返しの気持ちもあります。頑なにECをやらないのではなく、単純に街の八百屋さんや酒屋さんと同じで、『今日のこれめちゃくちゃ新鮮だよ』とか『あの人サバが好きだったな』とか、常にお客さんのことを考えてその時々で自分がいいと思ったモノを提案しているだけです。買っても買わなくてもよくて、でも自信のある商品を扱っているからこそ正直に意見も言いますし、そこを信頼していただけているのかなと思います」。店舗を訪れた人とのコミュニケーションを大切にする姿勢は、店づくりの原点のように感じられた。お客さんの顔を思い浮かべて日々新鮮な提案を行う。結局はファッションであろうとなんだろうと、根本にある人との繋がりを大切にする〈WAKE.〉のスタイルは、図らずもALL STAR LGCYがもつ特性とマッチする部分も多くあるように思える。

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 小学生高学年頃からファッションに目覚めたという小俣。そのファッション遍歴は、コンバースとともに変化していったそうだ。「小学6年生くらいで洋服に興味をもちはじめ、Levis®の70505のデニムジャケットを羽織って、カウチンを着てチノパンを履くみたいなスタイルをしていて、そこにALL STARを合わせていました。隣町の稚内にある靴流通センターで購入し、何の気なしに履いていましたね。先輩や周りの友人を見て、気づいたら履いていたのがコンバースでした。後に古着屋で働くようになって、背景やディテールについて知って、さらに興味をもち、当時はヴィンテージのUS12とかめちゃくちゃ大きいものを超絞って履いていました。大きすぎて距離感掴めないから階段とかで突っかかってしまうんです(笑)。そんな過去もあり今は現行品に落ち着きましたね。むしろ今は一周まわってそっちが良いなと。今回のALL STAR LGCYは、トウのサイズ感や履いた時の気持ち良さやフィット感が全然違うし。だから中学生の頃に履きはじめ、洋服の仕事に就いてからもたくさん履いてきて、今〈WAKE.〉でALL STAR LGCYを取り扱えることは感慨深いというか、自分にとって原点回帰のような感覚ですね」。トレンドは雑誌やTVで情報を得るしかなかった当時、東京などの大都市に住んでいない者からしたら、なかなか手に入らないモノも多くあっただろう。そんななかALL STARはいちばん身近にあった存在とも言える。誰でも購入できる身近な存在だからこそ、その人の思い出と深くリンクする。

「今回のALL STAR LGCYは、原点回帰ではあるけど新たな機能性があり、新しいものをアナログに提案している〈WAKE.〉にフィットしている気がしています。僕がつくっている洋服だけでなくナイロンパンツとかスウェットにもハマりそうですし。もちろんスタイルにハマらなかったとしても、その違和感が逆にカッコよく作用してくれると思う。ディテールの綿紐やサイドステッチの懐かしさも含め、履いていった時の経年変化を楽しめるので、その表情が履く人各々で変わっていくのも面白いと思います」。原点回帰とは、ただオールドスタイルを踏襲したり過去を省みるだけではなく、進み続けていくなかでスタート地点に立ち返る感覚で、決して過去だけを見るものではない。70’sのディテールの再現度など、懐かしい要素を含みながらも現代に即した機能性をもつALL STAR LGCYは、まさにアナログなスタイルの中で新しい提案を行う〈WAKE.〉を象徴するピースとも言えるだろう。当時何気なく選んだアイテムが小俣にとって重要なピースとなっているように、ALL STAR LGCYも、誰かにとっては記憶とリンクするモノであり、また違う人にとっては新鮮に映る。そんな各人のストーリーとともに歩んでいく1足となり得るだろう。


A special pair with memories.

「いちばんの思い出の1足は、やっぱり中学1年生の時に購入した何でもない普通のALL STARだから、今はもうないんです」と言う小俣には、最近のお気に入りの2足を紹介したいただいた。左から、レザーハイカットのALL STAR、昨年即完したA.PRESSEとのコラボモデル。「ALL STARの思い出はたくさんあるし、地元の靴屋で購入して履き潰したモノからヴィンテージまで色々履いてきたけど、今はこの2足に落ち着きました。普段はブラックかネイビーの洋服が多いので、合わせやすいこの2足を履くことが多いです」。

Information

CONVERSE JAPAN

@converse_jp

https://converse.co.jp/

TEL_0120-819-217

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