

CULTURE, FASHION, INTERVIEW 2025.3.14
CONVERSE ALL STAR LGCY『The Timeless Journey』
No.2 LOFTMANCOOP UMEDA
バスケットボールシューズとして、1917年に誕生したコンバース ALL STAR。100年以上の歴史のなかで多くのアップデートを重ね、ファッションやカルチャーとも強く結びつきながら、広く親しまれているスニーカーのひとつだ。そして2025年2月、コンバースから新たなフラッグシップモデルALL STAR LGCYが発売された。70’sのALL STARのディテールを踏襲しつつ、現代に寄り添うデザインや履き心地を追求した、まさに原点から未来を見据える1足。ヴィンテージを好む人だけでなく、今まで手に取ってこなかった人にとっても、この潔いシンプルさがスタイルに新鮮味をもたらしてくれるのではないだろうか。ブランドのアイデンティティを落とし込んだALL STAR LGCYを取り扱う全国6店舗にスポットを当て、それぞれのショップがもつカルチャーとの関係値、そして6つの視点からファッションの可能性を探る。
Photo_Haruki Matsui
Edit&Text_Fuka Yoshizawa

受け継がれる
ベーシック
1976年に創業したLOFTMANは、機能性に特化したアウトドア用品からデニムやシャツといったいわゆる定番品まで、豊富に揃うセレクトショップ。長年関西エリアに根を張り、ベーシックやスタンダードというキーワードを軸に、時代に左右されない店づくりを行ってきた。なかでも〈LOFTMANCOOP UMEDA〉は旗艦店として、上記のアイテムに加えスポーツやテーラーといったカテゴリを織り交ぜながら、幅広い客層にアプローチを行う。そんな〈LOFTMANCOOP UMEDA〉のバイヤー兼スタッフを務める岡村赳に話を聞いて見えてきたのは、ベーシックというカルチャーの土台を象徴するALL STARの存在。「LOFTMANのはじまりは、街のデニム屋だったんですが、少しずつセレクトショップとしての立ち位置をつくってきました。現在は、セレクトショップでは国内ではじめてお取り扱いをさせてもらったpatagoniaやL.L.BEANなどといったアウトドアブランドをはじめとする国内外のさまざまなブランドをセレクトしながら、各店に合った提案を行っています。僕は普段、店頭に立ちながらバイイングをさせてもらっているんですけど、LOFTMANはそれぞれの店舗によって置いているモノ、それに伴う接客が違うので、ひとつとして同じような店がないんです。なかでも〈LOFTMANCOOP UMEDA〉は情報交換の場として機能していますね。ただ店頭の商品を見てもらうだけではなく、たとえば最近登った山についてや、スケートに適した服のことなど、お客様とスタッフが自然と情報を共有できる場を提供できていることが〈LOFTMANCOOP UMEDA〉の強みだと思います。また創業から掲げているコンセプトとして“センチュリーベーシック、ニュースタンダード”というものがあります。僕はバイヤーとしてモノを見る時に、このコンセプトを踏まえたうえで、“進化する老舗”という考えを元にバイイングを行っていて、時流に流されずこの先も残っていくモノを選んでいくなかでも、新たなジャンルや感覚をもったモノをセレクトすることを心がけています」。コンセプトを明確に分けてストレートに表現する潔さもあるが、あえてそれをしない〈LOFTMANCOOP UMEDA〉のあり方は、さまざまなカルチャーを俯瞰して捉えているからこそ。対にあるモノ同士を同じ目線で扱い、絶妙なさじ加減で調理していくことは、ショップに訪れる人々の角度から、主体的にカルチャーに触れられるきっかけをつくっている。そして、ALL STARにもそんな一面が備わっていることを、岡村は自身の視点から教えてくれた。
長い歴史のなかでALL STARは、多くの人々と繋がり、さまざまなカルチャーとリンクしてきた。数々のアップデートを重ねながらも、定番品として親しまれてきたALL STARを岡村はどう捉えているのか。「僕のなかでALL STARは、絵を描くキャンバスと同じ感覚なんです。僕が小さい頃はギリギリアメリカ製が売られていた時代で、靴としてのボリュームがなかった印象です。カルチャーが前に出てくるというより、その時々で色を変えられるシューズ。だから良い意味で無味無臭というか、本当にデッサンのキャンバスのようなイメージでした。ロックスターをはじめ、さまざまなアイコンの人が履いていたとは思いますが、そこにカルチャーを感じるというより、ALL STAR自体には本当にクリーンな背景を感じます」。岡村が言うように、シューズ自体にカルチャーが根付いているのではなく、各々が自らの色を投影できる1足というのがALL STARのいちばんの魅力なのかもしれない。


「今まで多くのコンバースを履いてきましたし、憧れをもって履いていたシューズだからこそ、今回のALL STAR LGCYは期待値が高いです。いちばんに目を引くのが綿紐の部分。これめちゃくちゃ良いですよね。90’sのALL STARはナイロンの紐だったので、購入してから綿紐に買い換えたりしていたんです。別のモデルやもっと古いALL STARじゃなく70’s当時のALL STARを選んだ部分も絶妙ですよね。もう少し年代が遡るとヴィンテージ色が強くなったりするけど、良い具合にバッシュ感も残っているし、すごく計算されたんだなと思います。まさに“センチュリーベーシック”が現代の感覚で表現されている。履かなくても30年後ももっているのが想像できるし、受け継いでいけるシューズだと思います。だから、いろいろなジャンルの人に履いてほしいですね。例えばスケーターが履いて、トウガード位置の部分が破れたとしてもカッコいいし、そこからカルチャーが生まれていくんだろうな。それくらい、カルチャーの根本となる部分がALL STAR LGCYには含まれていると思います」。長年ALL STARを見てきた岡村が言う無味無臭という表現は、決してネガティブな響きではなく、ALL STARが広く愛されてきたことを物語っている。真っ白なキャンバスに自身がもつカルチャーや好きなテイストを乗せていける点は、間違いなくALL STARだけのオリジナリティ。新たに登場するALL STAR LGCYも、各々がそれぞれの履きこなしをすることで、新しいファッションの流れやカルチャーを形成するベースとなっていくだろう。

A special pair with memories.

LOFTMANCOOP UMEDA
@loftmancoop_umeda