

CULTURE, FASHION, INTERVIEW 2025.5.16
ANOTHER ASPECT × COLBO × ESTNATION
コミュニティをどう生み出すか
5月7日までエストネーション六本木ヒルズ店で行われていた、コペンハーゲンを拠点にする〈ANOTHER ASPECT〉とニューヨークをベースに、同名のセレクトショップから生まれた〈COLBO〉のポップアップ。4月18日にはこのコラボレーションを祝うレセプションパーティーが、TRUNK(HOTEL)にて開催され、両ブランドのデザイナーも来日を果たした。コミュニティをブランドの核に据えるブランド同士の共演は、東京のシーンがより発展していくためのヒントを多く含んでいる。
Photo_Local Artist
Translation_Haluhi Kato
Edit&Text_Shuhei Kawada
コペンハーゲン、ニューヨークから東京へ
時間をかけて広がる輪
〈ANOTHER ASPECT〉のダニエルとアナス、〈COLBO〉のタルは以前からブランドに対する考え方に共通項を見出し、これまでニューヨークにある〈COLBO〉の店舗にて、2回ほどPOP UPを開催してきた。
ダニエル「僕らがコペンハーゲンでやっていることと、彼らがニューヨークでやっていることに多くの共通点があると思っていた。そしてそこをミックスさせて、より良いものを引き出したいと思っていた。僕らのお店にはLa Cablaというカフェが併設されていて、コミュニティに寄り添ったイベントをたくさん開催しているし、その点はCOLBOも同様だと思う。今回3回目を東京で開催できて良かったよ」。
タル「一緒にこうした取り組みをするのは、とても自然だったよ。僕らのお客さんやコミュニティ、彼らの周辺にいる人々がつながるような感じで、とても良いスタートだったね。ESTNATIONのバイヤーのジュンヤ(川本純也)が僕らのイベントやコラボレーションといったことに対するコンセプトに興味をもってくれていて、昨年6月にパリのファッションウイークでお互いのショールームを行き来して、日本でも何かやろうと話がはじまったんだ」。
川本「どちらのブランドも、洋服が良いというのはありましたが、それ以上にショールームでワインを振る舞ったり、音楽を流してみんなで談笑していて、そこの空気感みたいなものが非常に素敵に見えました。ESTNATIONはライフスタイルショップという理念を掲げているので、洋服以外の部分を充実させることに注力していますし、彼らのやり方とすごくリンクしていると感じました」。
実際にここ東京で行われたレセプションイベントにも、多くの人が来場し、彼らのブランドへの期待の高さを感じさせるだけでなく、従来にはない人の交わりが生まれていたのが興味深いポイントだ。イベント当日は幅広い年齢層、異なる業種の人々、学生など、業界関係者だけに止まらない広がりを見せ、交わりながら波及している様子に、ファッションのシーンが大切にすべきコミュニティへの目線が見えてきた。



タル「〈COLBO〉にとっても、〈ANOTHER ASPECT〉にとってもコミュニティというのはとても重要なことだね。店舗というフィジカルな場所をもっているから、その点は非常にラッキー。ゲストを呼んでパーティーやイベントを行って、多くの人が注目してくれる。互いが互いを知っている必要はなくて、訪れた人同士が会話をして、繋がっていく。まさにコミュニティをつくっていくということだよね」。
ダニエル「店舗というフィジカルな場所は、〈ANOTHER ASPECT〉にとってもブランドをはじめた時から存在していた。最初は今のお店より小さなところからスタートして、今ではLa Cabraというカフェと一緒に運営している。カフェがあることでお客さんも集まるし、僕らのお店に来た人がカフェを楽しむこともある。お店をはじめる時から異なる業種を入れたかったし、とても良い方法だと思っているよ。座って話をするだけでもいいし、洋服を見るだけでもいい。お店はただモノを売って買ってもらうだけの場所じゃないんだ」。
アナス「場所があることでコラボレーションもしやすいしね。異なるグループの人を、繋いでいくことで、その人たちの間での共通の興味になるし、決して同じ分野にいなくても行き来できるでしょう。どんな職業かどうかは関係なくて、僕らがインスピレーションを得ることができる人たちと取り組みを行うようにしています」。


もちろん店舗があるという前置きをした上ではあるが、彼らがイベントなどを通してコミュニティを形成していくための姿勢は、ファッションやカルチャーに関わる以上欠かせない視点になる。デジタル上の利便性や恩恵も存分に味わえる時代だが、結局はリアルな現場でのコミュニケーション。そこに介在する異なる層が混ざり合うことで、人々の中に根付いた存在となることができるのだろう。洋服やファッションという点だけでなく、音楽、コーヒー、お酒や食、はたまたアートなど。ファッションを生活に根ざしたものとして捉えて、それを共有できる仲間を探していく。打算ではなく自然な広がりを見せながら、彼らのコミュニティは時間をかけてじっくりと浸透する。今回のイベント、POP UPを機に今後日本での活動にも注力していきたいというビジョンを明かしてくれた彼らの動きに、ぜひとも注目したい。