たとえばデザイナーが洋服をつくるとき、頭の中のアイディアを洋服という形に落とし込む。
写真家が写真を撮るとき、四角い世界で被写体をどう捉えようか模索する。
アーティストが作品をつくるとき、イメージに近づけるための過程を想像する。
人々がカルチャーに触れるとき、そのカルチャーが蓄積した過去と今の姿に触れる。
あなたが人と話すとき、その関係性を意識する。
あなたが自分のことを考えるとき、理想と現実のギャップを認識する。
“距離”というのはなにも物理的なことに限った話ではない。
精神的でもあり概念でもある“距離”に対する個々人の思考に、
スタイルは表れるのではないだろうか。
言い換えれば、より広い視点での距離感を掴み、解釈し、想像することで、
たとえそれがどんな表現方法であろうとも、自身のスタイルに反映させることができるだろう。
ファッションやカルチャーという杓子定規で進まない世界から、
人生をともにする“ものさし”を探してみよう。
その“ものさし”は、わかりやすい正解を提示するものではないかもしれないが、
考えることをやめずにもがく人々にとっては、きっとなにかの役に立つはずだ。