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GRIND FEATURE TOPIC『INSPIRATION FROM SOUND』 GRIND FEATURE TOPIC『INSPIRATION FROM SOUND』

CULTURE, INTERVIEW 2020.8.27

GRIND FEATURE TOPIC『INSPIRATION FROM SOUND』

Ryo Takaiwa

新たなスタートを踏み出すために 自身と向き合った30日間

SANABAGUN.、THE THROTTOLE、SWINGERZ…フロントマンとして、多くの顔をもつ男、高岩 遼氏。来たる8月27日、30歳を迎える彼が自ら筆を執り、その30年の軌跡を振り返った“プレ自叙伝”が発売される。音楽に支えられ、音楽で苦しみ、音楽とともに歩んだ人生。過去と向き合うことで見えてきた、未来への希望と欲求。節目を迎え、新たなスタート地点にたった彼は今、一層その輝きを増している。

Photo_Ryo Sato

節目として
振り返る『30』

ヒップホップ、ジャズ、ロックにR&B。幼い頃から音楽に囲まれていた高岩 遼氏。地元・岩手を離れ上京後、ジャンルを跨ぎながら、時にはひとりで、時には仲間とともにエンターテインメントを届けている。オリジナルな音楽性はもちろん、ライブパフォーマンスは圧巻で、見ているすべての人を巻き込むステージに心を奪われる。そんな中、音楽シーンにも多大なる影響を及ぼした新型コロナウイルス。多くのフェスやステージが中止となり、高岩氏の生きがいであったステージに立つことが難しくなった時、彼が考えついたのが“プレ自叙伝”を執筆することであった。30日間で、すべて自身の手で書き上げた30年の軌跡。「この状況の中で何ができるかを考えた時に、30歳になる節目として、自叙伝出すことを思いつきました。俺のことを知らない人もまだまだいる中で、誰が読むのかとも思いましたが、このタイミングで自叙伝を出すことで、自分の中の高岩遼を超えていける気がしたんです。0歳から今までの人生を振り返ると今までの出来事がちゃんと今の俺につながっていて。ここ最近で一番しんどい時間だったけれど、書き終えた時には不思議と前向きな気持ちになっていました。節目として自分と時間をかけて向き合ったことで整理ができて、今までの経験を、ダークな面も含めて、ちゃんと本の中に置いてこられたのかもしれない」。上京してから今まで、振り返る余裕もなくただ高みを目指して突っ走り続けた高岩氏に訪れた予期せぬ時間。1対1、己と真摯に向き合うことでこれまで築きあげてきたモノとこれからの自身の姿がはっきりと見えてきた。そして筆を置いた時、彼はポジティブなエネルギーとともに、新たな章へと進む準備ができていたのだ。

さまざまな顔をもつ高岩氏。「SANABAGUN.、THE THROTTLE、SWINGERZの“高岩 遼”は、結局全員俺なんだけど、全く違う人間なんだよね。多分バンドのメッセージとかメンバーの思いとかが違うから変わってくるんだと思うけれど、俺が同一人物だと気づかない関係者もいるくらい違うらしい。それが面白い」。

更新される
“スタート地点”

30歳を迎える前にすべてをさらけ出し、自身の人生を振り返ることで見えてきたのは、描いた理想とは程遠い現在地。「上京した時から『ビッグスターになる』という夢があります。でも、当初思い描いていた像にはまだまだ達していません。悔しい思いがあるのは確かなのですが、それよりも『いいね、いいね、高岩。苦労してるね。これからどうなっていくんだコイツ』。っていう期待の方が大きい。人生うまくいっていなくても、これからのことを考えると、そんな苦労も苦い思いも含めて楽しいんです。ここ2〜3年を振り返っても、感覚は全然違います。落ち着いたわけではなくて、非常に焦ってはいるのだけれど、同時にそれをとても楽しんでいる。今までは、真っ赤な炎がメラメラ燃えていた感じだったけど、今は心の奥深くで強烈な青い炎が燃えている感じ。青い炎の方が熱いっていうでしょ」。やりたいこと、欲しいもの、そのすべてを叶えるために、胸の奥深くで静かに青い炎を燃やしながら、着実に、前進を続ける。「書き終えることで初心に戻ることができ、新たなスタートを切った気分です。でも、多分今から10年後、20年後にも同じような事を言ってると思います。『今日がスタート地点です』って。『いいよ、高岩、まだまだ大変そうだね〜』って自分でまた思うんだろうな」。リラックスした笑みでそう語る姿からは、強がりや虚勢ではなく、着実な歩みを伴った充実感が感じられた。過去を振り返り自身を客観視することで、また新たなスタート地点に立つ。ゼロから走り出す彼の前には、どんな世界が見えているのだろう。苦労や逆境さえも楽しみ、さらに上へと駆け上がるためのバネに変えてしまうこの男の今後から、目が離せない。

どのバンドも、ソロ活動も、どれかに肩を入れ込むことなく全部本気でやってきたからこそバランスをとるのが難しい時期もあったという。「30歳を迎えて、ようやくわかってきた気がする。うまくやるとかじゃなくて、自分自身というものをね」。

2020年8月27日、30歳を迎える高岩 遼が、自身の半生を30日間で書き上げた“プレ自叙伝”を自費出版で発表する。高岩氏の関わる幅広い活動の話から、ステージ上では見ることのできなかった彼の内面にいたるまで、すべてを書き上げた内容。

Information

高岩 遼著 自叙伝『30』

発売日_2020年8月27日
価格_¥1650
販売サイト_TAKAIWORLD (https://takaiworld.buyshop.jp/
㉄ オフィス高岩(https://office-takaiwa.co.jp/



RYO TAKAIWA

岩手県出身。18歳で上京後、ジャズシンガーとしてソロで活動。その後、大学で出会った仲間とともにビッグバンドを結成し、その活動がのちのSANABAGUN.、THE THROTTLE、SWINGERZにもつながっていく。ジャンルレスでオリジナルな音楽性とストリートライブで磨いたライブパフォーマンスで、エンターテインメントを届ける。
Instagram:@ryotakaiwa0827

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